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ガートナージャパン、オンプレミス市場の展望を発表

ガートナージャパン(東京都港区)は、オンプレミスの将来に関する最新展望を発表した。

国内のITソリューションやオペレーションに関わる多くのI&O(インフラストラクチャとオペレーション)部門が、クラウドかオンプレミスかを検討している状況が続いている。それについて同社は、「オンプレミス・テクノロジが衰退していくことを前提に、企業は、プラットフォームとしての『インフラのグランド・デザイン』を再考する必要がある」と提言する。

青山浩子ディレクター アナリストは、「近年、新たなテクノロジや手法、アプローチに加え、クラウドサービスが選択肢としてある中で、新興テクノロジ・トレンドによる破壊と革新に伴う市場再編も、多くの領域で発生しています。I&Oのリーダーは、旧来テクノロジを継続維持するだけのOldオンプレミスから脱し、ビジネス・イノベーションに資するプラットフォーム戦略へと進むことが求められています」と述べる。

 

多くのベンダーがオンプレミス市場から撤退しつつある

 

同社では2027年までに、従来型のオンプレミス (Oldオンプレミス) のみをサポートするベンダーは、市場から消滅しつつあると予測。国産ベンダーに至っては、サーバーはもとより、メインフレームからも撤退し始めていると説く。

一方、外資系ベンダーはNewオンプレミス(※)を推進。あるいは、2023年まで存在した米VMwareのように、他社に買収をされて再始動の時期にあるといった転換期を迎えていると見ている。この状況を亦賀忠明ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストは、「業務システムはもとより、社会と経営の安定を支える重要な基幹系システムの将来が不透明になりつつあることを表している。多くの日本企業にとって、事態は相当に深刻であると言えます」と見解を示す。

今後、現状のオンプレミスを利用し続けようとしても、それらのサポートやテクノロジがなくなると予想されるため、代替案を検討せざるを得ない。その最も有力候補がハイパースケーラーだが、利用するには新たなスキルだけでなく、時代に即したマインドセット、スタイルといった新しいケイパビリティ(能力、手腕)が必須になるという。時代変化への気づきが拡大する中で、多くの企業がそれらを獲得しようという動きが加速すると同社は予測する。

亦賀氏は、「『今付き合いのあるベンダーやシステム・インテグレーターが、現在のテクノロジをこれまでと同様にサポートし続けてくれる』と考えるのは大きな誤り。テクノロジの衰退に伴い、ベンダーやシステム・インテグレーターにおいても、対応できるエンジニアが減少し、『誰も支える人がいなくなる』という状況を深刻に捉える必要があります。今後、ハイパースケーラーの理解は不可欠となるため、スキルの早期獲得に向けた施策の推進や、次世代対応に向けた既存要員の強化が必須。世の中が根本から変化していることを理解し、2030年以降のNew Worldに向けて、スーパーパワー・テクノロジ (想像を超えたテクノロジ) と、新たなテクノロジ人材による力強い次世代のビジネス戦略の立案、そして展開をスタートする必要があります。そのためには、現在のOldオンプレミスのマイグレーションだけに注目するのではなく、次世代のビジネス・アーキテクチャまでも視野に入れた産業革命への対応を、企業戦略として推進する必要があります」とも述べている。

 

※Gartnerが提唱する従来型のシンプルなスタックから構成されるオンプレミスではなく、クラウド・ネイティブの要素を取り入れた新しいオンプレミス

2024年03月25日 11時26分 公開

2024年03月25日 11時26分 更新

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