コストダウンだけではない!ビジネスモデルの再構築にBPOを活用せよ

パーソル プロセス&テクノロジー

 新型コロナワクチン業務委託で2億円超を不正に請求した罪で、近畿日本ツーリスト元支店長らに有罪判決が下された。
 近年、データ改ざんや不正請求など、BPOベンダーに関するトラブルが絶えない。BPOベンダー側にも問題があることはもちろんだが、発注側のチェック体制や知識不足などにも課題はある。
 BPOに詳しい、東京経済大学 経営学部 教授 関口和代氏と、BPO事業を展開するパーソル プロセス&テクノロジーの執行役員 ビジネスエンジニアリング事業部 事業部長 小野陽一氏が対談。BPOの共通課題と、市場拡大に向け各社が取り組むべきことを示唆した。

 

パーソル プロセス&テクノロジーの執行役員 ビジネスエンジニアリング事業部 事業部長 小野陽一氏(左)と東京経済大学 経営学部 教授 関口和代氏

 

関口 グローバルと比較して、日本企業はBPOを十分に活用できていない印象があります。要因はいくつもありますが、発注側が自社のやり方にこだわり、カスタマイズしないと納得しない傾向が強いことにはとくに課題を感じます。これでは、コストメリットが生まれにくく、品質もバラつき、BPOベンダー側も疲弊します。

小野 たしかに日本企業は、過剰な配慮や必要以上の慎重さから、合理的に業務を切り出してアウトソースすることが苦手な傾向はあります。結果、あまり重要視していないノンコア業務を部分的に抽出して委託するということに留まり勝ちです。

関口 定型業務のコストダウンももちろん重要ですが、BTO(Business Transformation Outsoucing)も含めた業務委託を検討すべきです。新たなビジネスモデルを構築する際、必要なリソース、ノウハウをゼロから自分たちで揃えようと思うと、時間もイニシャルコストもかかります。米国のスタートアップは、BPOを活用しながら成長を目指す。投資家も「コアに集中せよ」と背中を押し、BPOの活用をポジティブにとらえる傾向があります。

小野 バリューチェーンの再構築にも、BPOをもっと活用できるはずだと考えています。DXに伴い、ビジネスの構造を再構築する際、BPOを活用すればスピーディに実現できます。弊社も、BTOの提案を訴求したいと思います。

関口 BTOを拡大するには、BPOベンダー側が(1)付加価値の提供、(2)DX人材の確保、(3)専門性、(4)積極的な情報発信、(5)業界/規模別のパッケージの提供などを進めて行く必要があります。コストダウンだけではない、新たな価値を示し、それを実現できるDX人材を採用、育成する。法務や労務など専門知識を持った人材の確保、または連携。BPOをうまく活用するための情報発信と、誰でもうまく活用できるためのパッケージ化などに取り組んでほしいですね。

小野 弊社は、昨年、生成AIスペシャリスト100名育成し、生成AI活用コンサルティングサービスも提供開始しました。ドローンビジネスやGX(グリーントランスフォーメーション)といった新たなビジネスモデルにもノウハウを蓄積し、得意領域として訴求しています。積極的に付加価値を提案し、バリューチェーンの再構築などに寄与していきたいと考えています。

2024年03月15日 16時39分 公開

2024年03月15日 16時39分 更新

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