IT

2024年3月号 <FOCUS/コールセンター>

「解決するチャットボット」の作り方

コールセンター

徹底した行動分析でパーソナライズ対応を最適化
アスクルの歩みに見る「解決するチャットボット」

生成AIの登場で、「チャットボット」に対する期待値が再度、上がりつつある。しかし、顧客の期待値に沿うコンテンツ作成がおろそかなままでは、生成AIを使ったところで呼量にインパクトのあるほどの成果がもたらされる可能性は低い。すでに10年間、運用し続け解決度を向上してきたアスクルの改善施策から、「解決するチャットボット」の作り方のポイントを検証する。

 アスクルは、2014年9月にBtoC向け通販サイト、LOHACOにチャットボット「マナミさん」、2016年9月にBtoB向け通販サイト、アスクルにチャットボット「アオイくん」を導入した。大手銀行を筆頭にAI導入が相次ぎ、チャットボットに耳目が集まり始めた時期だ。いち早くサポートの自動化に着手した背景には、業務効率化だけではなく、「お客様のために進化する」という同社の“DNA”が根底にある。

 カスタマーサービス本部カスタマーサービス&オペレーション LE・データ・BOT推進の小宮りか氏は、「約10年間、チャットボットの進化を重ねるなかで最優先にしてきたのは、お客様の利便性向上です。自動化の目的として、コスト削減よりも、使いやすさや自己解決の実現に重きを置いて機能改善を繰り返してきました」と振り返る。

 マナミさんとアオイくん、いずれも主な役割はQ&Aをベースとした問い合わせ対応だ。2019年には、アオイくんとデータベースを連携してパーソナライズ対応を開始。注文キャンセルなどの問い合わせに対し、購買履歴を参照したうえで該当する注文を特定、キャンセル可能かどうかを回答する仕組みを構築した。2022年6月よりチャットボット専任担当者を置き、チューニングとテストを重ね、回答精度を向上。対応範囲の拡大も、積極的に進めてきた。

 カスタマーサービス本部カスタマーサービス&オペレーション LE・データ・BOT推進の鈴木龍斗氏は、「注文状況に応じて回答内容が異なるため、分岐と対話設計に約1年かかりました。CXの観点で妥協することなく構築したことで、“問い合わせチャネルを変更することなく完結したい”というお客様の要望に応えられるチャットボットを実現できました」と説明する。

数百ものQ&Aを目視で確認し分類
顧客満足を基準に自動化を推進

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会員限定2024年02月16日 00時00分 公開

2024年02月16日 00時00分 更新

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