AI時代に残る“正解のない応対” 「判断力」の磨き方 第1回

2026年9月号 <AI時代に残る“正解のない応対” 「判断力」の磨き方>

武居正子

実践編

第1回新連載

マニュアルではもう対応しきれない!
求められる「状況に応じて判断する力」

なぜ、同じ研修を受けているのに対応に差が生まれるのか。その違いは、知識やスキルだけでは説明しきれない。AIの活用が進むほど、人材育成では知識や手順を教えることに加え、「判断力」をどのように育て、組織の中で共有していくかが、これまで以上に重要になっている。本連載では、その視点から、思考タイプやマネジメント、評価などを通して、「判断力」をどう育て、組織の力につなげていくのかを考える。

PROFILE
Last One Mile代表
武居正子
コンタクトセンター業界で30年以上にわたり、センター運営、品質改善、人材育成に携わる。現在は大手メーカーのコンタクトセンター運営支援やナレッジ整備をはじめ、AI時代の現場の判断と人材育成をテーマに、企業支援、執筆活動を行う。

 AIの活用が広がる一方で、コンタクトセンターの現場では、これまでとは少し違う悩みを耳にすることが増えている。

 「同じように説明しているのに、お客様の反応が違う」「マニュアル通りに対応しているのに、会話が上手くかみ合わない」──多くの現場で、似たような場面が起きている。

 例えば、お客様が少し強い口調で話している場面。怒っているわけではない。ただ、早く解決したいという焦りや不安がにじんでいる。オペレータは、マニュアル通りに説明し、内容も正確だった。手順も間違っていない。それでも電話を切ったあと、「説明はしたはずなのに、何かが足りなかった気がする」と感じることがある。

 応対評価を見ても大きな問題は見当たらない。それでも録音を聞き返してみると、会話がどこか一方通行になっている。現場では、こうした場面は決して珍しくない。

 一方で、ベテランのオペレータは、説明に入る前に一言添えることがある。「そうですよね。不安になりますよね」。特別なことを言っているわけではない。それでも、その一言で会話の流れが変わる。

 本人に理由を聞いても、「先にそれを伝えたほうがいい気がした」という答えが返ってくることが多い。明確な根拠を説明できるわけではない。それでも、その一言がお客様の受け止め方を変えている。

 こうした違いは、応対品質の評価項目だけでは見えにくい。それでも、応対全体の印象には確実に影響している。

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会員限定2026年08月20日 00時00分 公開

2026年08月20日 00時00分 更新

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