AIエージェントは実装段階へ
人との協働でCXを再設計する
生成AIの進化により、コンタクトセンターのAI活用は、単なる自動応答から、顧客の課題解決を担う「AIエージェント」へ移行しつつある。2025年9月にCognigyを買収したNiCEは、AIと人間のエージェントを1つのプラットフォームで連携させ、顧客体験の再設計を進める。

──顧客応対におけるAIの導入トレンドをどう見ていますか。
フィリップ Cognigy創業当時は、会話型AIのNLU(自然言語理解)技術が中心でしたが、生成AIの登場で状況は大きく変わりました。柔軟な会話で顧客の問題をエンドツーエンドで解決する力に高い関心が寄せられ、顧客応対への活用が進みました。実際、AllianzやLufthansaといった大手企業は、すでに生成AIを含むエージェント型ソリューションを本番環境で稼働させており、その成熟度と信頼性を裏付けています。
──従来のチャットボットとは何が違うのでしょうか。
フィリップ 従来は、顧客の質問に答えたり問題解決を支援できますが、すべてを事前にシナリオとして設定しておく必要があり、学習範囲外の質問には対応できませんでした。一方、AIエージェントは、人間と同じように、質問内容と顧客の反応に応じた応対計画を立て、企業内に蓄積した知識(ナレッジ)やデータ、ツールを駆使できます。顧客の反応が変われば、計画を柔軟に変更し、最適な問題解決に導くことが可能で、問題解決率の大幅な向上が見込めます。
──Cognigyをどう展開しますか。
フィリップ Cognigyは数年間、会話型AIとエージェント技術の分野でリーダーとして活躍してきました。NiCEはすでに、知識管理、積極的な顧客アプローチ、アウトバウンドダイヤラーなどの高度なAI技術を持っています。良い顧客体験は、AIエージェントだけ、あるいは人間のエージェントだけで実現できるものではありません。両者の組み合わせによってこそ可能になるため、これらを1つのプラットフォームに統合しました。
──顧客接点も変革しそうです。
フィリップ かつては各部門、各顧客接点が縦割り構造でしたが、今や部門間の境界線は曖昧になりつつあります。例えば、航空会社のAIエージェントがチケットの購入からアップグレード提案、プロアクティブ対応の提供まで、顧客の一連の体験を一括して対応する、という事例が出てきています。ポイントは、AIと人間の強みを組み合わせて、まったく新しい体験を創造することです。
──日本市場をどう見ていますか。
フィリップ 日本市場には大きな可能性を感じています。多くの日本企業の海外支社が、私たちのソリューションを採用しています。製品群は日本語を含む複数の言語に対応しており、保険、通信、小売業界の大手企業と複数の価値検証プロジェクトを実施。日本の厳しい要件にも対応可能であることが確認済です。今後は、音声認識『AmiVoice』や日本のLLMなど、現地ソリューションとの連携を進め、訴求力を高めていく方針です。
会員限定2026年06月20日 00時00分 公開
2026年06月20日 00時00分 更新
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