やる気アップ! オペレータを動かす効果的な1on1 第4回

2026年7月号 <やる気アップ! オペレータを動かす効果的な1on1>

野村裕美

実践編

第4回

NG例とOK例で学ぶ
1on1の基本フロー(後編)

1on1の最後に行うクロージングは、話し合った内容をオペレータ自身の行動につなげる重要な場面です。しかし実際には、クロージングを行っている“つもり”で終わっているケースも少なくありません。終わり良ければすべてよし、の状態にするにはコツがあります。今回は、オペレータと管理者の認識ギャップを防ぎ、印象に残る改善アクションにつなげるための効果的なクロージングについて解説します。

PROFILE
サクセス コミュニケーション代表
野村裕美
30年前にコールセンターオペレータとして勤務の後、大手通信キャリア、電機メーカーや外資系企業の大規模センターでマネジメントを務める。現在はコンサルタントとして活動し、次世代育成にも注力。2021年より消費者庁DX推進アドバイザリーボードメンバー。

 前回は、1on1における山場ともいえる③実績フィードバックと④課題認識、ちょこっと宿題の方法について解説しました。明確なデータに基づいたフィードバックと課題の認識合わせ、改善アクションの合意まで進めることができたでしょうか。

 時間をかけてさまざまな話し合いをしても、そのまま終わってしまっては、重要なポイントが薄れてしまいます。直後に「何を話したの?」とオペレータに聞いても、「管理者から改善するように言われました」で終わってしまうかもしれません。管理者からの押し付けではなく、本人自身のコミットメントにするためには、クロージングが効力を発揮します。

今回のPoint!
図 実績フィードバック1on1の5段階
図 実績フィードバック1on1の5段階

尻切れトンボはNG!
クロージングで価値を上げる

⑤クロージング

 重要な場面を無事に終えて、管理者としては、その流れで「じゃあ、がんばってください」と終わらせていませんか? 安心するのはまだ早いです。最後に、今回の1on1で話した内容を振り返り、オペレータ自身がどう思ったのか、どんなアクションを行うのかを、どこまで理解しているのか確認する必要があります。双方の認識にギャップがないかを確認するためには、オペレータに言語化してもらうことが重要です。

 では、どのような手順で行えばよいのでしょうか。クロージングの基本的なプロセス1〜5と、簡単なトークのOK例を紹介します。全体セッションの長さにもよりますが、クロージングは5分〜10分かけて丁寧に行うことをお勧めします。

1.まとめ

 今回のセッションで行った内容を簡単にまとめます。詳細な振り返りは不要です。

■OK例

 「今日は*月の実績と課題について一緒に確認し、その後の改善アクションも相談し、決めました」

2.感想を聞く

 セッションについてどう思ったのか、率直な感想を聞きます。その際は傾聴に徹します。

■OK例

 「今日のセッションを通じて、**さんはどんな感想を持ちましたか」

3.ネクストアクションの言語化

 議論して決めた改善アクションについて、最終確認をします。

 管理者が「改善アクションは****と決めましたね。では、しっかりと頑張ってください」と話すのではなく、認識が合っているかを確認するためにも、オペレータ自身の言葉で言ってもらいましょう。ただし、重々しくならないように、軽い感じで聞くようにします。

■OK例

 「今後のアクションについて一緒に相談しながら決めましたが、どんなアクションを起こすことにしましたか。**さんの言葉でおっしゃってみてください」

褒め・励ましは
ネガ×→ポジ〇で伝える

4.ポジティブフィードバック

 仕事を通じて自己成長したいと希望しているオペレータは多くいます。管理者は、その絶好の機会であることを意識したフィードバックをしなければなりません。

 実績やマインド面、セッション内の発言内容を含めて、前回、または数カ月前よりどんな点が成長しているのか、些細なことでも構いませんので、本人が気づいていない点にも管理者は目を向け、より具体的に伝えることが大切です。話す際はポジティブトークに徹し、しっかりと鼓舞してください。オペレータと管理者が一緒に成長を祝福する、その気持ちで向き合いましょう。

■OK例

 「今日は先月の実績フィードバックを行いましたが、具体的には***できている点も多くあり、***がとても素晴らしかったですね」

 「課題もしっかり認識され、その改善策についても前向きな良い提案が**さんから出て、アクションを一緒に決めることができました」

 「2カ月前は課題ばかりを見つけ、発言も自信がないようでしたが、今回はまったく違っていましたね。客観的に良い点も見つけ、自身を認めることもできました。素晴らしいですね」

 「自分の成長は自分で認めることが大切です。6カ月前よりこれだけ成長できました。もし、6カ月前の自分に何か言うとしたら、どんな言葉で褒めてあげますか」

5.締め

■OK例

 「今日の1on1はこれで終わります」

 「ネクストアクションも決まり、良い話ができました」

 「これからの1カ月、頑張ってください。応援しています」

 「何か不明点や不安なことがありましたら、いつでもお声がけください」

 私はあなたの伴走者であること、そしていつもあなたを見守っていることを伝えましょう。

 時間配分は、何に一番重きを置きたいのかによって変えてもよいです。ルーティン業務としてこなすのではなく、管理者が意思を持って進めましょう。その思いは、必ず受ける人の心に響きます。

 次回は、長期的に優秀な人材を確保するためにも重要なセッションとなる、将来のキャリア相談や昇格推薦時の1on1について触れていきます。

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会員限定2026年06月20日 00時00分 公開

2026年06月20日 00時00分 更新

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