やる気アップ! オペレータを動かす効果的な1on1 第3回

2026年6月号 <やる気アップ! オペレータを動かす効果的な1on1>

野村裕美

実践編

第3回

NG例とOK例で学ぶ
1on1の基本フロー(中編)

1on1のフローの中でも、なかなか目標に達しないオペレータと行う要因の深掘りや改善に向けた議論は、管理者にとって少し気が重いセッションではないでしょうか? とは言え、実績は明確に伝え、課題認識とネクストアクションをともに考え、合意に至る必要があります。この一番の山場をどうやってオペレータに寄り添いながらやる気を引き出し、成功に導けるのか。事例をヒントに考えていきましょう。

PROFILE
サクセス コミュニケーション代表
野村裕美
30年前にコールセンターオペレータとして勤務の後、大手通信キャリア、電機メーカーや外資系企業の大規模センターでマネジメントを務める。現在はコンサルタントとして活動し、次世代育成にも注力。2021年より消費者庁DX推進アドバイザリーボードメンバー。

 前編では、1on1の5段階フローに触れ、場の空気を和らげるアイスブレイクと、何のための時間であるのかを明確にする目的・ゴール説明について解説しました。

今回のPoint!

 中編では、データをもとに実績(事実)を明確に伝え、良い点はしっかり認めて褒めること、課題の認識を合わせ、寄り添った対話によってネクストアクションの合意を得る流れを解説します。

図1 実績フィードバック1on1の5段階
図1 実績フィードバック1on1の5段階

③実績フィードバック

 余計な言葉は不要です。設定した個々の目標に対し、実績がどうだったかを、データを用いながら事実として淡々と明確にフィードバックします。未達であっても、責め立てるような厳しい言い方は避けるべきですが、顔色をうかがい過度に配慮する必要はありません。

なぜ「聞き出す力」が重要なのか

④課題認識と改善アクション(+ちょこっと宿題)

【課題認識】

 目標を達成している場合は、しっかりと褒めます。その際は印象ではなく、「何がどう良かったのか」を具体的にフィードバックします。良かった場合も「聞き出す力」を発揮することが重要です。

■NG例
 なんかすごく数字が上がったね、頑張ったね、なぜだと思う?
→褒めること自体は問題ありませんが、「なぜ(Why)」の質問では、「たまたまかもしれない」「分からない」といった曖昧な回答になりやすく、具体的なアクションにつながりにくくなります。

■OK例
 後処理時間が**秒も短縮できて素晴らしいですね。日々努力しているのですね。**さんは、達成のために何を(What)行ったのか、もう少し詳しく教えてくれませんか。
→実績を承認し褒め、「何をしたのか」を問いかけることで、自身の頑張りに興味を持ち、具体的に何をしたのか知ろうとする良き理解者と認識され、信頼関係が高まります。また、具体的なアクションを引き出すことで、次のアクションを計画するヒントにもなります。

 一方、目標が未達だった場合は、改善アクションにつなげるためにも、未達要因を対話を通じて整理し、認識を合わせる必要があります。その際に求められるのが「聞き出す力」です。

質問はWhyではなくWhatで寄り添う

 図2のように、「なぜ?」と一方的に問われる場合と、「一緒に考えよう」と同じ視点で問いかけられる場合では、受け手の印象は大きく異なります。「なぜ?」と問われると、詰められている印象を受け、「どうしたらいいのか分からない」と感じやすくなります。一方で「何が?」と問いかけることで、未達要因の整理が進み、改善に向けた会話につながります。

図2 質問の仕方
図2 質問の仕方

 「それを解決できればアクションは可能ですか」「何をサポートすればよいですか」といった問いかけにより、具体的な改善の方向性が見えてきます。聞き出し方によって、モチベーションを下げるか、建設的な対話につながるかが大きく変わるため、管理者は「聞き出す力」を高める必要があります。

【改善アクション】

 対話を通じて見えてきた課題に対し、どのように改善アクションを計画するかが重要です。

 「もっと短縮して」「満足度を上げて」といった指示だけでは、具体的に何をすればよいか分からないという声も少なくありません。また、管理者が一方的に決めたアクションでは、当事者意識が生まれにくく、モチベーション低下につながる可能性があります。

 管理者は仮説を持ちながらも決めつけず、オペレータの考えを引き出しながら合意形成を行います。

■OK例
・何をすれば向上できると思いますか?(例えば、**を**%アップと具体的に)
・そのために私は何をサポートすればよいですか? 一緒に達成しましょう。
→アクションについては、一緒に検討し合意できた結果として、何を行い、何をどのくらい改善できるのかをオペレータ自身に言語化してもらうことが重要です。

【ちょこっと宿題】

 次回の1on1までの期間を成長の機会と捉え、最後に宿題を設定します。宿題は改善アクションとは別に、負担の少ない内容を相談のうえ決めます。例えば、声のトーンを上げる、間の取り方を意識する、相づちのバリエーションを増やしてみるなど、すぐに実践できる内容で構いません。

 そして、議論した内容は毎回必ず履歴を残し、次回の1on1で実施状況を確認することで、継続的な関係構築につながります。

 宿題もぜひ取り組んでみてください。不安なことがあればいつでも相談してくださいとフォローしておくと良いでしょう。

 いよいよ次回はフローの最後となるクロージングの重要性について触れます。尻切れトンボにならず、効果的なセッションだったことを印象づけ、やる気アップにつなげる方法について検討します。

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会員限定2026年05月20日 00時00分 公開

2026年05月20日 00時00分 更新

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