実践編
第2回
第1回では、日々当たり前に行っているオペレータとの1on1について、その目的を改めて整理し、現状の課題に触れながら、どう行うべきかを確認した。頭では理解できても、オペレータの成長に伴走する対話に近づけるには、具体的にはどんな流れで進めていくべきか。今回は、基本的な1on1の流れと、ありがちなNG例やオペレータの意識を高めるOK例を整理していく。
1on1の実施にはさまざまなケースがありますが、基本的には次の目的で行われることが多いです。
・生産性や満足度などの重要KPIについて、オペレータ向け個人目標の説明と合意
・実績進捗確認と向上に向けたアドバイス
・業務面のフィードバックやその他の相談
・将来に向けたキャリア相談など
いずれのケースにおいても、次に紹介する基本的な5本柱をベースとした流れを押さえておけば、アレンジは簡単です。

では、どんな流れが良いのでしょうか。単なる雑談と明確に区別し、オペレータに意識的に参加してもらうために、基本の流れを押さえておくとよいでしょう。日頃からコミュニケーションが取れている管理者ほど照れもあり、場をつくるために演じることが苦手かもしれません。
今回は実施頻度が高い実績フィードバックを例に、その流れについて解説します(図)。①〜⑤の5段階に分けると管理者側も内容が整理しやすく、受ける側も理解しやすくなります。

今回はこのうち①②にフォーカスをあてて説明します。では、それぞれ順番に見ていきましょう。
①アイスブレイク
最近では当たり前のように行われていますが、本題に入る前の雑談の時間です。
とくにまだ1on1に慣れていない新人オペレータの緊張をほぐし、その後の会話をスムーズにするための重要な場です。また、他のオペレータがいる前では伝えづらい、「日頃からあなたの頑張りを見ています、ありがとう」といった気持ちを伝える機会にもなります。ほんの数分ですが、やり方次第でその後の会話の質は大きく変わります。単なる雑談と捉えず、管理者は意識的に場をつくることが大切です。
では、どのような会話が効果的なのか、管理者は自身がオペレータだったらどう感じるのか、逆の立場で一緒に考えてみましょう。
■NG例
・どうも~、お待たせしました~、お疲れさま~、じゃ、はじめますか。
→悪い印象ではありませんが、馴れ合いのまま始まったと受け取られる可能性があります。
■OK例
・最近、体調はいかがですか?
・実績は順調ですね、期待しています。
・先日はシフト追加してくれてありがとうございました。とても助かりました。
・朝礼で周知されたキャンペーンの内容は理解できましたか?
→日頃のねぎらいを伝えることで、「見てもらえている」という安心感につながります。
→改めてお礼を伝える場にもなります。
→全体周知の理解度を確認し、個別の質問を引き出しやすくします。
また、2回目以降の1on1では、「前回はこんな話をしましたね」と振り返りを行い、「やってみてどうだったか」と感想を聞くことも有効です。できたことについては認め、褒めることが重要です。事前に周囲から状況を把握しておくと、より効果的です。
②目的とゴール説明
1on1の冒頭で「今日は何の目的で行うのか」をオペレータに説明しているでしょうか。
管理者に確認すると、「しっかりフィードバックした」「理解していたと思う」との回答が多く見られます。しかし、オペレータ側に確認すると、「結果は聞いたが、何が課題で何をすべきか分からない」といった認識のズレが生じているケースもあります。
このような「言ったつもり」を続けていては、本来の目的は達成できず、貴重な時間が無駄になってしまいます。
「これから話す内容は重要なので、しっかり聞いてください」という姿勢を示し、あえて場の空気を切り替えることで、受け手の意識も変わります。
■NG例
・これから先月のパフォーマンス実績をフィードバックします。
→何のための時間なのかが曖昧で、得るべき内容が明確にならないまま終わってしまいます。
■OK例
・これから30分いただき、先月のパフォーマンス実績についてフィードバックします。
・良かった点、改善点について気づきを共有し、認識を合わせましょう。
・さらに向上するために、今後のアクションを一緒に考え、決めていきましょう。私もサポートしていきます。
→目的とゴールを明確にすることで、オペレータが事前に心構えを持つことができます。
→「伴走してもらえる」という安心感になり、背中を押すきっかけにもつながります。
今回は、1on1の基本的な流れを整理しました。「何となく」ではなく、明確なステップで進めることが重要です。準備は必要ですが、すぐに実践できる内容ですので、ぜひ取り組み、その変化を実感してみてください。
次回はフィードバックセッションについて紹介します。重要なスキルの1つである『聞き出す力』によって、潜在的な課題をどう深掘りできるのか、未達要因の本質をあぶりだし、ゴール達成に向けたアドバイスとネクストアクションのコミットメントをどう促すのかについて紹介していきます。
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