やる気アップ! オペレータを動かす効果的な1on1 第1回

2026年4月号 <やる気アップ! オペレータを動かす効果的な1on1>

野村裕美

実践編

第1回新連載

実績フィードバックだけで終わらせない
オペレータと対話し信頼関係を築く機会へ

シフト調整や日々の運営に追われる中で、1on1は「やっている」ものの、業務の結果の確認や指摘に終始してしまうケースも少なくない。本来の1on1は、実績から示唆を読み解き、気づきを深掘りし、次の行動につなげる重要な対話の場である。本連載では、効果的な1on1の実践法を解説する。第1回は、管理者が1on1に注力すべき背景を整理し、目的の理解と事前準備の重要性を確認する。

PROFILE
サクセス コミュニケーション代表
野村裕美
30年前にコールセンターオペレータとして勤務の後、大手通信キャリア、電機メーカーや外資系企業の大規模センターでマネジメントを務める。現在はコンサルタントとして活動し、次世代育成にも注力。2021年より消費者庁DX推進アドバイザリーボードメンバー。

 コールセンターでは、シフト調整で頭を悩ませながらも、管理者がオペレータとの1on1を毎月、あるいは毎週行っています。一方で、1on1の本質を理解し、貴重な時間で効果的かつ目的どおりに行えているでしょうか。「そんなこと言ったって、何も教わっていない」「急に面談をやってと言われただけ」との声も聞こえてきそうです。

 管理者は、オペレータのパフォーマンス実績に基づき、改善やさらなる向上を期待し、個々の実績データを使って1on1を行います。しかし、生産性や満足度評価が上がった、下がったという会話だけになっていないでしょうか。

 本来の1on1の目的は、その実績から示唆を読み解き、より深掘りした気づきを得ることにあります。そして、それをどうオペレータに理解してもらい、次につなげるのか。短時間の中で非常に重要なコミュニケーションが任されています。

 また、管理者は1on1を通じてパフォーマンスのフィードバックだけでなく、今後のキャリアや人間関係を含めたさまざまな相談も受けなければなりません。

 コールセンターはDX化が進み、これまで以上に多くのデータが扱われています。そして、そのデータを生み出しているのはオペレータ1人ひとりの頑張りです。その気持ちに寄り添える1on1は、もっとフォーカスされるべきです。

 オペレータと管理者の信頼関係の構築は急務です。本連載では、お互いがハッピーになるための1on1実践法について、具体的な失敗例や成功例も交えたケーススタディを紹介しながら、あるべき姿を解説していきます。

今回のPoint!

なぜ管理者は1on1に注力すべきか

 コールセンターでは採用難により、恒久的な人材確保が困難になっています。採用できても、数週間から数カ月の研修を経てデビューした人材に安定稼働してもらうことは重要な命題です。

 業務に必要な情報の一方的な周知や、目的が不明確な面談の繰り返しでは、モチベーションの低下や離職につながりかねません。

 一方で、近年は、働き方の意識は変化しており、処遇の良し悪しだけでなく、仕事を通じて自己成長を望む人が増えています。採用した人材に長く働いてもらうためにも、1on1を管理者の一方的なフィードバック業務として捉えるのではなく、オペレータ1人ひとりに丁寧に説明し理解を得ること、さらにオペレータから個々の考えを聞き出しながら成長に伴走する対話が求められています。

 現在の1on1はどのように行われているでしょうか。少し極端な例ですが、自身の1on1と比べてみてください。

 管理者がオペレータにパフォーマンス結果をフィードバックする際、個々の実績から状況を把握し、その1on1を通じてどんな気づきを得てもらうのか、そのために何を話すのか、全体ストーリーを事前に考える余裕がないまま、管理者が時間のほとんどを使い、一方的に結果を伝え、目標未達の場合は指摘を行う。オペレータが自ら率先して動くきっかけになっておらず、そもそも対話が成立していない──。

 このような1on1で、オペレータは明日からも頑張ろうと心から思えるでしょうか。少なくとも信頼関係の構築には至りません。

 オペレータは、しっかりと詳細説明を受けたい、もっと自分を見てほしい、理解してほしい、そのために管理者に話を聞いてほしいと感じています。

図 管理者の一方的なフィードバックの1on1の例
図 管理者の一方的なフィードバックの1on1の例

1on1で期待できる効果

 1on1は、管理者とオペレータが向き合い、継続的に対話することで信頼関係を構築できる場です。

 例えば、センター全体に一斉展開された情報や重要KPIの目標値がなぜその値に決まったのか、変更が発生した背景や理由について、どれだけ理解し腹落ちしているかを質問によって確認できます。

 また、実績のフィードバックを受け、管理者からヒントを得たオペレータ本人がどう受け止め、それに対しどう改善していこうとしているのかを、本人に言語化してもらうことができます。

 さらに、管理者自らがオペレータに対する期待を直接、具体的に伝えることもできます。期待されていることを知ると、やる気が高まるものです。

 対話を繰り返すことで、オペレータが持てる潜在能力を最大限に引き出し、モチベーション向上につなげることもできるでしょう。

 効果的な1on1でポジティブスパイラルに導けるのか、それとも一方的な情報共有や指摘だけに終わり、信頼関係が築けず、不信感によるネガティブスパイラルに陥るのか。まさに管理者次第です。それほど重要な機会であることを再認識し、何のための1on1なのか、目的に合ったゴールを決め、どう導くのかを事前に整理しておく必要があります。

 管理者は日々の業務に忙殺されがちですが、1on1がなぜ重要なのかをあらためて振り返ってみてください。自分はどう行っているか、目的を達成できているか、対話の中でオペレータに寄り添えているか。ほんの少し立ち止まって考えることで、気づきが得られるかもしれません。

 次回は、1on1の基本的な流れとポイントを整理し、具体的なNG/OK例を紹介していきます。

2026年03月20日 00時00分 公開

2026年03月20日 00時00分 更新

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