実践編
第4回
1on1の最後に行うクロージングは、話し合った内容をオペレータ自身の行動につなげる重要な場面です。しかし実際には、クロージングを行っている“つもり”で終わっているケースも少なくありません。終わり良ければすべてよし、の状態にするにはコツがあります。今回は、オペレータと管理者の認識ギャップを防ぎ、印象に残る改善アクションにつなげるための効果的なクロージングについて解説します。
前回は、1on1における山場ともいえる③実績フィードバックと④課題認識、ちょこっと宿題の方法について解説しました。明確なデータに基づいたフィードバックと課題の認識合わせ、改善アクションの合意まで進めることができたでしょうか。
時間をかけてさまざまな話し合いをしても、そのまま終わってしまっては、重要なポイントが薄れてしまいます。直後に「何を話したの?」とオペレータに聞いても、「管理者から改善するように言われました」で終わってしまうかもしれません。管理者からの押し付けではなく、本人自身のコミットメントにするためには、クロージングが効力を発揮します。


⑤クロージング
重要な場面を無事に終えて、管理者としては、その流れで「じゃあ、がんばってください」と終わらせていませんか? 安心するのはまだ早いです。最後に、今回の1on1で話した内容を振り返り、オペレータ自身がどう思ったのか、どんなアクションを行うのかを、どこまで理解しているのか確認する必要があります。双方の認識にギャップがないかを確認するためには、オペレータに言語化してもらうことが重要です。
では、どのような手順で行えばよいのでしょうか。クロージングの基本的なプロセス1〜5と、簡単なトークのOK例を紹介します。全体セッションの長さにもよりますが、クロージングは5分〜10分かけて丁寧に行うことをお勧めします。
1.まとめ
今回のセッションで行った内容を簡単にまとめます。詳細な振り返りは不要です。
■OK例
「今日は*月の実績と課題について一緒に確認し、その後の改善アクションも相談し、決めました」
2.感想を聞く
セッションについてどう思ったのか、率直な感想を聞きます。その際は傾聴に徹します。
■OK例
「今日のセッションを通じて、**さんはどんな感想を持ちましたか」
3.ネクストアクションの言語化
議論して決めた改善アクションについて、最終確認をします。
管理者が「改善アクションは****と決めましたね。では、しっかりと頑張ってください」と話すのではなく、認識が合っているかを確認するためにも、オペレータ自身の言葉で言ってもらいましょう。ただし、重々しくならないように、軽い感じで聞くようにします。
■OK例
「今後のアクションについて一緒に相談しながら決めましたが、どんなアクションを起こすことにしましたか。**さんの言葉でおっしゃってみてください」
4.ポジティブフィードバック
仕事を通じて自己成長したいと希望しているオペレータは多くいます。管理者は、その絶好の機会であることを意識したフィードバックをしなければなりません。
実績やマインド面、セッション内の発言内容を含めて、前回、または数カ月前よりどんな点が成長しているのか、些細なことでも構いませんので、本人が気づいていない点にも管理者は目を向け、より具体的に伝えることが大切です。話す際はポジティブトークに徹し、しっかりと鼓舞してください。オペレータと管理者が一緒に成長を祝福する、その気持ちで向き合いましょう。
■OK例
「今日は先月の実績フィードバックを行いましたが、具体的には***できている点も多くあり、***がとても素晴らしかったですね」
「課題もしっかり認識され、その改善策についても前向きな良い提案が**さんから出て、アクションを一緒に決めることができました」
「2カ月前は課題ばかりを見つけ、発言も自信がないようでしたが、今回はまったく違っていましたね。客観的に良い点も見つけ、自身を認めることもできました。素晴らしいですね」
「自分の成長は自分で認めることが大切です。6カ月前よりこれだけ成長できました。もし、6カ月前の自分に何か言うとしたら、どんな言葉で褒めてあげますか」
5.締め
■OK例
「今日の1on1はこれで終わります」
「ネクストアクションも決まり、良い話ができました」
「これからの1カ月、頑張ってください。応援しています」
「何か不明点や不安なことがありましたら、いつでもお声がけください」
私はあなたの伴走者であること、そしていつもあなたを見守っていることを伝えましょう。
時間配分は、何に一番重きを置きたいのかによって変えてもよいです。ルーティン業務としてこなすのではなく、管理者が意思を持って進めましょう。その思いは、必ず受ける人の心に響きます。
次回は、長期的に優秀な人材を確保するためにも重要なセッションとなる、将来のキャリア相談や昇格推薦時の1on1について触れていきます。