Verbex

人手不足を背景に、音声対話AIへの期待が高まっている。Verbexは独自の音声認識(STT)と音声合成(TTS)の研究開発を続け、2025年に自然さと高速応答を強みにした音声対話AIソリューションをまずコールセンター向けに提供開始した。研究の始動は2017年と早く、黎明期から技術を磨いてきた点が大きな優位性となる。
創業者であるZubi氏が音声技術に注目した背景には、識字率75%のバングラデシュで音声が主要なコミュニケーション手段となっている現状がある。テキスト中心の先進国とのデジタルデバイドを埋めるには、誰もが直感的に使える「VoiceUI」の普及が不可欠と考え、こうした社会課題の解決を軸に同社を設立した。
日本展開を主導したのは、創業時からバングラデシュに何度も足を運んでいた森下将憲氏だ。2024年夏の段階で英語モデルでは人間のように自然な対話が成立しており、日本語モデルを独自開発できる技術力に将来性を見出して参画。2025年2月に日本法人の代表へ就任し、8月に国内提供を実現した。
同社の強みは、自社でモデルを開発できる技術力にある。コールセンター向けの落ち着いた声から営業向けの力強い声まで生成でき、開発スピードの高速化や低レイテンシーにも寄与する。一方で、外部LLMを柔軟に組み合わせられるプラットフォーム性を備え、用途に応じて最適な構成を選べる点も特徴だ。
特許戦略も積極的で、日本を含む25カ国で特許を取得している。対話を通じたタスク遂行や複数システムとの同時通信による高速応答など、音声エージェント領域を幅広くカバーし、競争力を高めている。多言語対応の自動切り替え機能も2026年に追加予定だ。
バングラデシュ暫定政府のヘルプラインにおける実証実験では約80%の問い合わせをAIが自動解決し、日本でも実運用が進む。
応答速度は0.6〜0.7秒と実用水準を満たし、料金は従量課金となるがオペレータコストを下回る。森下氏は「重要なのはAIを軸に業務プロセスを再設計する姿勢」と強調する。「顧客体験を軸に据え、人間とAIで別のオペレーションを組む、AI最適化が重要です」(森下氏)。導入スピードも2〜3週間と短く、運用開始までの負担も小さい。
今後はコールセンターに加え、自治体、ホテル受付、駅窓口など幅広い応用を見込む。2026年には100社規模のPoCを予定し、エージェント切替やハルシネーション対策により難しいユースケースにも対応する構えだ。「人を確保するのではなく、SaaS導入のような感覚でスピーディーにセンターを構築できるのは大きなメリットです」(森下氏)。Verbexは高精度の音声対話技術を武器に、新たなVoiceUI時代を切り拓こうとしている。
2025年12月20日 00時00分 公開
2025年12月20日 00時00分 更新