コラム
第130回
大学で田舎から出てきた頃は、東京出身で裕福でお洒落な同級生のモテぶりに圧倒され続けた、わたちゃんです。「人は中身だ!!」と言っても言い訳に聞こえるんですよね。いかにして彼らと同じように「見せる」か、小手先のテクニックばかりに走っていた気がします。今考えれば、当時は中身も伴っていなかったんですが。
これは、ビジネスの世界も同じで、一見華やかなプロモーションに目が行きがちですが、本当に大切なのは「中身」、つまり企業や商品の本質的な力です。
かつての検索エンジン全盛期においては、企業はSEO対策やリスティング広告に莫大な投資を行い、検索結果の上位に表示されることで顧客の目に触れ、選ばれる時代でした。資金力のある企業や、広告運用に長けた企業が有利な立場にあり、いかに「見つけられるか」がビジネスの鍵を握っていたと言えるでしょう。しかし、これはある意味、潤沢な広告費を投じられる企業が、より多くの顧客を獲得できるという、資本主義の論理が色濃く反映された時代でもありました。
しかし、時代はAIエージェントの登場によって大きく変わろうとしています。AIエージェントが私たちの生活に深く入り込み、情報収集から購買行動までをサポートするようになると、企業や商品はAIエージェントに「選ばれる」存在でなければならなくなります。これは、単に検索上位に表示されることとは異なる次元の話です。AIエージェントは、ユーザーの意図を深く理解し、膨大な情報の中から最適な選択肢を提示する能力を持っています。その際、小手先のプロモーションや広告の量だけでは、もはやAIエージェントを欺くことはできません。
例えば、あなたが旅行の計画をAIエージェントに依頼したとしましょう。AIエージェントは、あなたの過去の旅行履歴、好み、予算、同行者の情報などを総合的に分析し、最適な宿泊施設やアクティビティを提案してくれます。この時、単に広告費を多く投じているホテルが選ばれるわけではありません。AIエージェントは、実際の宿泊者のレビュー、施設の清潔さ、スタッフの対応、立地、価格の妥当性など、多角的な情報を基に「本当にお客様にとって価値がある」と判断した選択肢を提示するはずです。
AIエージェント時代は「本当の実力」が問われます。地道な努力で商品・サービスを磨き、顧客のために精進する企業が、AIエージェントと消費者に選ばれる世界を、心から期待したいです。
ということで、小学生になった孫に、「小手先でクラスの人気者になるのではなく、人間力を磨いて友達から尊敬される人になりなさい」と言ってます。とはいっても、おもちゃを買い与えたときに大喜びされ、「AIエージェント時代になっても、孫の人気獲得には資金力だ!」と痛感している今日この頃です。

2025年11月20日 00時00分 公開
2025年11月20日 00時00分 更新