コラム
第129回
バイキンマンはいつも街を破壊するぐらいの、リアルの世界でいうとテロまがいな行為をしているのに、「バイキンマン、いたずらはやめるんだ!!」と「いたずら」として片づけるアンパンマンの心の広さに感動してしまう、わたちゃんです。
「それいけアンパンマン」は、1988年の放送開始以来、今なお世代を超えて愛され続ける日本アニメの金字塔です。単なる子ども向けアニメにとどまらず、親や大人も共感できるテーマが詰まっており、視聴者に大切な価値観を教えてくれます。物語では常に、アンパンマンとその仲間たちが協力し合い、困難に立ち向かう姿が描かれており、アンパンマンが示す無償の助け合いの精神は、視聴者にとって非常に強い教訓となります。普遍的なテーマである正義感や友情、助け合いといった価値観が、世代や国境を超えて共感を呼ぶ理由の一つです。とくに、「誰かのために自分を犠牲にする」という行動が描かれることで、視聴者は他者を思いやる心を育むことができるのです。また、教育的な要素も強く、子どもたちに社会的なスキルや道徳的価値観を自然に教えてくれる役割も果たしています。
アンパンマンの人気の秘密は、その普遍的なメッセージ性だけではありません。ビジネスやマーケティングの視点から見ると、非常に計算され、結果として時代のニーズに応え続けた戦略が見えてきます。まず、アンパンマンのキャラクターデザインとストーリー構成は、主要ターゲットである乳幼児の特性に驚くほど合致しています。心理学の研究によれば、赤ちゃんは輪郭のはっきりした丸い形や顔を好むことがわかっています。アンパンマンの丸い顔や、シンプルで覚えやすいキャラクターは、この特性を捉えていると言えるでしょう。また、ストーリー展開がシンプルで分かりやすいことも、子どもが理解しやすい理由です。さらに、登場キャラクターの多さも特筆すべき点です。アンパンマンのアニメシリーズは、1768体以上の登場キャラクター数でギネス世界記録に認定されています。キャラクターが多ければ、子どもたちは自分のお気に入りのキャラクターを見つけやすくなります。これも多様な顧客ニーズに対応するマーケティング戦略と言えるかもしれません。そして、アンパンマンの「自己犠牲」の精神は、現代ビジネスにおける「顧客第一」や「ソーシャルグッド」に通じる深いメッセージとして、大人にも響きます。自分の顔を分け与えるという究極の利他的行動は、信頼や共感を生み出す強力なブランドメッセージとなっています。
しかし、アンパンマンは「愛と勇気だけが友達」なので、みんなを幸せにしているけど、本当は孤独なのかもしれません。彼の幸せを祈ります。彼の自己犠牲や助け合いの精神が、巨大なビジネスになり、多くの感動と学びを与え続けているのを見ると、ビジネスの世界でも、短期的な利益追求だけでなく、普遍的な価値観や利他的な視点を持つことが、結果として大きな成果や長期的な成功につながるに違いありません。

2025年10月20日 00時00分 公開
2025年10月20日 00時00分 更新