座談会 <エフォートレスのつくり方>
顧客が困りごとに対して迷わず、最短で自己解決できる時代へ──。こうしたエフォートレス体験の向上を目指す現場の試みに迫るべく、最新の取り組みを行う事例3社のキーパーソンを招聘した。FAQやチャットボット、VOC活用のポイントに迫る。
<出席者>(順不同)



<モデレータ>

大松 顧客に手間や苦労をかけないエフォートレス体験の向上は、ロイヤルティをも左右します。3社の事例企業と実践ポイントを議論したいと思います。自己紹介からお願いします。
森田 オムロン制御機器事業「お客様相談室」の顧客対応業務に従事しています。約20万点におよぶ製品に関する問い合わせ対応のほか、ナレッジマネジメントの運用強化にも取り組んでいます。
高橋 SMBC日興証券のコンタクトセンターで、オペレータやSV、マネージャー、センター運営企画と多角的な役割を経験しています。
山田 メルカリのカスタマーサポート部門の責任者や新規事業の立ち上げを経て、現在は安心・安全設計やVOC(顧客の声)プログラム推進、社内外のパートナー連携も担当しています。
大松 エフォートレス体験に関する全体像を図1に示します。皆さまの考えるエフォートレス体験の定義をお聞かせください。

森田 そもそも「お客様の仕事の手を止めない」ことがサービスの出発点。WebやFAQなどの自己解決手段で、答えがすぐに見つかり、万が一、問い合わせる際もストレスなく解決できる。お客様の仕事の手を止めない導線設計が、エフォートレスの本質だと思います。「サポートの質=安心できる経験」であり、その体験が自社への顧客の信頼につながります。
高橋 お客様に、できるだけ負担をかけず、シンプルに課題を解決していただくこと。それを実現するためには、チャネルとテクノロジーの最適な組み合わせが不可欠です。ボタンひとつで「分かった」「できた」と思える体験を積み重ねてこそ、企業全体の価値向上につながると思います。
山田 同じく、お客様を困らせない設計を最優先しつつ、“迷わずに進める動線”を細部まで徹底することがポイントです。カスタマーサポート(CS)に限らず、サービスの隅々に「つまずきポイント」を残さない意識が、ファン化や事業の成長の原動力となります。その設計と運用を担うCS部門は体験の要であり、ブランドの信頼を形作る最後の砦でもあります。
会員限定2025年08月20日 00時00分 公開
2025年08月20日 00時00分 更新