中堅BPOの過渡期

2025年3月号 <Discussion/座談会>

座談会 <中堅BPOの過渡期>

マーケティング支援、ナレッジ収集、AI活用
中堅BPOが描くコールセンターの「付加価値」

「電話を減らす」──コールセンターの存在を否定するかのような目標を掲げる企業が増えている。ビジネス環境の変化を受け、BPOベンダー各社は“人工(にんく)”ベースの事業モデルからの脱却を余儀なくされている。中堅BPOベンダー3社の将来展望と事業戦略を検証する。

<出席者>(順不同)

宮脇 一 氏
宮脇 一
情報工房
代表取締役社長
広告・販促を学んだ後、1986年よりNTTでセールスプロモーション、ダイレクトマーケティングなどを担当。2001年、情報工房を設立。デジタルとアナログ双方のコミュニケーションでCRMを実現している。
松野 淳一 氏
松野 淳一
パーソルビジネスプロセスデザイン
ワークスデザイン事業本部
サービスデザイン統括部 フェロー
コンタクトセンター構築・運営、営業、コンサルテーションを約20年従事。次世代コンタクトセンターの企画、ビジネスモデル開発責任者を現在担当。近年はナレッジデータによるDX、AI活用に情熱を燃やしている。HDI国際認定インストラクタ。
木村 美千代 氏
木村 美千代
Teleperformance Japan
Business Development Manager
コンタクトセンター業界で20年以上にわたり、新規センター構築やノンボイスチャネルの構築など豊富な経験を持つ。人とAIを活用したプロセス・運用ルールの策定や現行の運用コンサルティングといった導入支援を行う。

<モデレータ> コールセンタージャパン編集部

──DXの推進や相次ぐM&Aなど、多くのBPOベンダーが、ビジネスモデルや経営方針の転換を進めています。今回は、中堅BPOが描く今後の展望や具体的な事業戦略を伺いたいと思います。まず、現在のBPOマーケットについて意見を聞かせてください。

宮脇 振り返ると、1980年代は、大手メーカーのお客様相談室をはじめ、多くのコールセンターが「消費生活アドバイザー」の役割を担い、消費者の困りごとに寄り添っていました。バブル崩壊以降、多くの企業がコスト抑制の一環でコールセンターを設立し、電話対応を集約。顧客対応業務は、効率性が重視されるようになりました。その後、インターネットが普及すると、FAQによる自己解決の促進が進みました。

 一方で、マネジメントの課題はほとんど変化がありません。自己解決が進み、呼量が減ってきているにもかかわらず、効率性重視の偏重は相変わらずです。価値の創出に切り替えていかなければ、コールセンターは本来の役割を果たすことができないと考えます。

松野 コスト偏重からの脱却を図らなければ、価格競争が加速し、体力勝負になった結果、寡占化は免れないでしょう。実際に、この数年で急速にM&Aが進んでおり、昨年末、富士通コミュニケーションサービスが新たにPERSOLグループ入りすることが決まりました。相乗効果を図ることで、効率性重視に陥りがちな人工ビジネスから転換し、価値を示していきたいと考えています。

木村 当社も2023年、マーケティングに強いテクノロジーを持つマジョレルを買収しました。コミュニケーションとデータを組み合わせることで新たなビジネスチャンスが生まれるはず。当社の強みであるAIや最先端のテクノロジーの活用によって付加価値の高い、有人対応を実現したいと考えています。

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会員限定2025年02月20日 00時00分 公開

2025年02月20日 00時00分 更新

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