座談会 <中堅BPOの過渡期>
「電話を減らす」──コールセンターの存在を否定するかのような目標を掲げる企業が増えている。ビジネス環境の変化を受け、BPOベンダー各社は“人工(にんく)”ベースの事業モデルからの脱却を余儀なくされている。中堅BPOベンダー3社の将来展望と事業戦略を検証する。
<出席者>(順不同)
<モデレータ> コールセンタージャパン編集部
──DXの推進や相次ぐM&Aなど、多くのBPOベンダーが、ビジネスモデルや経営方針の転換を進めています。今回は、中堅BPOが描く今後の展望や具体的な事業戦略を伺いたいと思います。まず、現在のBPOマーケットについて意見を聞かせてください。
宮脇 振り返ると、1980年代は、大手メーカーのお客様相談室をはじめ、多くのコールセンターが「消費生活アドバイザー」の役割を担い、消費者の困りごとに寄り添っていました。バブル崩壊以降、多くの企業がコスト抑制の一環でコールセンターを設立し、電話対応を集約。顧客対応業務は、効率性が重視されるようになりました。その後、インターネットが普及すると、FAQによる自己解決の促進が進みました。
一方で、マネジメントの課題はほとんど変化がありません。自己解決が進み、呼量が減ってきているにもかかわらず、効率性重視の偏重は相変わらずです。価値の創出に切り替えていかなければ、コールセンターは本来の役割を果たすことができないと考えます。
松野 コスト偏重からの脱却を図らなければ、価格競争が加速し、体力勝負になった結果、寡占化は免れないでしょう。実際に、この数年で急速にM&Aが進んでおり、昨年末、富士通コミュニケーションサービスが新たにPERSOLグループ入りすることが決まりました。相乗効果を図ることで、効率性重視に陥りがちな人工ビジネスから転換し、価値を示していきたいと考えています。
木村 当社も2023年、マーケティングに強いテクノロジーを持つマジョレルを買収しました。コミュニケーションとデータを組み合わせることで新たなビジネスチャンスが生まれるはず。当社の強みであるAIや最先端のテクノロジーの活用によって付加価値の高い、有人対応を実現したいと考えています。
会員限定2025年02月20日 00時00分 公開
2025年02月20日 00時00分 更新