AfterCall~電話の後で 第147回

2024年7月号 <AfterCall〜電話の後で>

山田祐嗣

コラム

第147回

米国の先進事例に学ぶ!
生成AI活用の留意点と進化の方向性

 米国HDIでは数千人のサポート関係者が集まるカンファレンスを毎年実施しています。今年は北米のデンバーで開催されました。参加者は全米各地だけではなく、カナダやブラジル、日本など多くの国から集まります。サポートセンターの運営に関するさまざまなテーマのセッションや基調講演が行われます。

 今回、私はAIをテーマとしたセッションを中心に参加しました。海外においても、生成AIをはじめサポート業務でのAI活用への関心は高く、タイトルに「AI」のキーワードが入っているセッションは満員で、床に座って聞いている人も大勢いました。日本で行われるセッションとの違いは、セッションのスピーカーが開始前から参加者とフレンドリーに対話し、インタラクティブに進行する点です。スピーカーが話している間も自由に質問でき、登壇者がそれに回答しながら進行します。多くのセッションの冒頭で「普段、生成AIを何らかの形で利用していますか」「生成AIを業務で日常的に利用していますか」「生成AIの活用は仕事の生産性を向上させていますか」などの質問が出ました。参加者の大半が何らかの形で生成AIを活用しており、仕事でも積極的に活用していることが見て取れました。

 多くのセッション参加者が生成AIを便利なものと捉え積極的に活用している一方、セッションのスピーカーは実際にサポート業務で使った際の実例を一つひとつ挙げて課題について注意喚起をしていました。

 正しい回答を出すには正確なナレッジをもとに回答を生成する必要があります。セッションでは、さまざまな種類の生成AIツールを用いて、コマンドプロンプトを工夫して比較していましたが、現時点では生成AIが出した回答には誤った情報が記載されたり、ナレッジにまったく存在しない架空の内容が記載されるので、回答内容をそのまま顧客に提示するのは危険です。生成AIは文章の要約・作成に優れており、作り出された回答は一見正しいように見えます。間に入るサポート担当者には「生成AIから作り出された回答を顧客に提示して問題がないか」を判断する能力が求められます。とはいうものの、毎回バージョンアップを通じて驚くべき進化を遂げており、半年前のバージョンに比べて文章作成力は大幅に向上しているので、半年先にどのような状況になっているのかは予測できないとしています。

 また、現在、各国や全米各州でAIの活用の基準や規程、法律を作成中で、常に動向にアンテナを張っておかないと、著作権違反などコンプライアンス上の問題に直面する恐れがあるとのことです。

 現時点で、生成AIは文章を要約したり作成したりする力は強力であり進化し続けているものの、あくまでも文章作成ツールの一つであるとの認識を持つ必要はあります。顧客が満足できる体験を提供し、ビジネスの成功につなげるには、しっかりとしたナレッジシステムを構築し、生成された文章の内容を確認できる人の介在が求められます。

PROFILE
山田祐嗣
HDI国際認定資格取得者:HDIイベント、認定トレーニング、格付けベンチマーク、メンバーネットワーキング、実態調査などを通じてサポート業界に価値を提供し、サポートセンターのサービス品質向上および地位向上を目指し活動をしています。

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会員限定2024年06月20日 00時00分 公開

2024年06月20日 00時00分 更新

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