2021年4月号 <特集>

特集扉

CXと生産性を同時に高める
チャットボット『真の役割』

Part.1 <提言>

FAQのナビゲートだけではもったいない
「ワンストップ対応」を可能とする新しい使い方

チャットボットの役割はFAQのナビゲーションが一般的だが、最近は登録や変更、照会、予約など、DB連携のうえで役割を果たすサービスが登場し、活用領域が「よりパーソナルな対応」にシフトしつつある。顧客にとっては気軽に完結でき、CSも高い傾向にある。利用が拡がれば、特定のコールリーズンの呼量低減も期待できる。CSと効率化を両立するサービスの今を検証する。

 特定の役割を持つチャットボットが、成果を上げている。

 例えば、予約や再配達依頼、商品の在庫検索、残高照会、登録変更など、その役割は単にFAQを返すというだけではなく、よりパーソナルな対応にシフトしている()。これに伴い、業務フローや、UX(ユーザーエクスペリエンス)の見直しも進みつつある。成果を創出するには、チャットボットに到達するまでの導線設計や、心地よくやり取りできるようなシナリオ、そもそもチャットボットで対応したいコンタクトリーズンであるかどうかなど、十分に検証する必要がある。セルフサービス全体を見直し、カイゼンする姿勢が不可欠だ。

図 主なチャットボットの役割

図 主なチャットボットの役割

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Part.2 <ケーススタディ>

「手続き処理」「用件特定」をボット化する!
エフォートレス化にまい進する4社の挑戦

LINEで手軽に配達日を変更できるヤマト運輸。保険金請求をセルフサービスで迅速対応するあいおいニッセイ同和損害保険。通信教育や通販サービスを快適に受けられるよう、24時間サポートしてくれるベネッセコーポレーションやアスクルのチャットボットにも多くの利用者がいる。各社とも、チャットボットの役割を明確化することで導入の成果を上げている。

CASE STUDY 1:ヤマト運輸

依頼はLINE、調べごとはWebチャット
コンタクトリーズンでボットを使い分け

 ヤマト運輸では、顧客の動向を調査した結果、顧客は問い合わせに応じてチャネルを使い分けていることが判明。調べごとの問い合わせが多いWeb上のFAQページのチャットボットと、手続きを依頼する問い合わせが多いLINEチャットボットを使い分け、それぞれ顧客の声も踏まえて改善を重ねている。

CASE STUDY 2:あいおいニッセイ同和損害保険

迅速対応がカナメの「保険金請求」
郵送なら5日の対応を10分で完了

 あいおいニッセイ同和損害保険では、有事の際に一刻も早く保険金手続きを行うことで、どれだけ顧客の安心を担保できるかを重要視しており、エフォートレス化を進めていた。その具体策がチャットボットでの手続き完了だ。紙でのやりとりや郵送の手間がなくなり、顧客の利便性を大幅に向上させた。

CASE STUDY 3:ベネッセコーポレーション

LINE/Webのチャットボットは
「有人対応の前さばき」として機能

 コロナ禍で加速する通信教育の需要に応えるベネッセコーポレーションでは、有人対応の付加価値を高めるため、チャットボットは前さばきの役割を担う。有人対応へのエスカレーションを前提としたシナリオを設計することで事前の情報収集やオペレータの負担の軽減、さらに顧客対応の内容を濃くしていく狙いがある。

CASE STUDY 4:アスクル

FAQ検索支援で呼量抑制に貢献
法人対応は変更・キャンセルにも対応

 アスクルでは、企業向けの「アオイくん(ASKUL)」と消費者用の「マナミさん(LOHACO)」のチャットボットを運用。アオイくんでは返品受付など注文情報が必要な手続きまで完了するなど、自己解決率向上に寄与している。一方、マナミさんはコロナ禍で増大するECサイト需要のなか、導線を工夫することで増加した呼量をある程度カバーした。