2019年10月号 <サービスのプロに聞く>

清水 梨恵 さん

<コーナー解説>
店舗など、コールセンター以外を含めた接客やサービスのプロにその心構えやノウハウを聞きます。

深い顧客理解が生み出す提案力
“生涯使えるワザ”を示唆

資生堂
ビューティーエヴァンジェリスト
清水 梨恵 さん

Profile

2002年に資生堂に入社。新潟でビューティーコンサルタントを務める。短期の海外派遣プログラムで、イタリアの店舗にて販売員を経験。外国人への接客に興味を持ち、銀座の「SHISEIDO THE STORE」への異動を志願。2018年、資生堂の総本店といえる銀座店にてビューティーエヴァンジェリストに選任された。

 首都・東京を象徴する街である銀座に、資生堂が147年もの歴史を紡いだ総本店「SHISEIDO THE STORE」がある。同社の美容職は、ビューティーコンサルタント(以下BC)と呼ばれ、商品知識はもちろん、メイク方法や美容に関するさまざまな知識を身に付けている。多種多様なブランドを取り扱う総本店では、さらに特別な教育を受けた美容のスペシャリストが集結している。美の伝道師を意味するビューティーエヴァンジェリストとして活躍する清水梨恵さんもそのひとりだ。

 清水さんが銀座店への異動を志願したきっかけは、短期の海外派遣だ。イタリアの店舗で販売員を経験した。「イタリアで生活し始めると、水質の影響なのか、肌がごわつき髪もギシギシしました。実はイタリアは朝、洗顔をしない人が多いのですが、それは水質に起因するものだと思います。また、接客を通じて肌質の違いだけではなく、化粧に求める要素の違いも見えてきました」(清水さん)。環境や文化の違いが美容方法やメイクに大きな影響をおよぼすことを実感し、外国人も含めて、全国からさまざまな顧客が来店する総本店への異動を希望した。

 また、「ただ知識があればいいというわけではなく、顧客の悩みやニーズを正しく理解し、1人ひとりに合った正しい提案をすることが大切」ということに海外派遣を通して再認識したという。例えば、「目をぱっちりさせたい」という要望は同じでも、その中身は「切れ長の目にしたい」「まつげを際立たせたい」などさまざまだ。ヒアリングを丁寧に行い、要望の裏に隠れたコンプレックスや心情を把握することが的確な提案につながる。

 さらに、顧客に説明する際には、顧客の“感度”に合わせることを意識している。「お客様がそのメイクをご自身でできるようにならなければ、気に入ってご購入いただいても、結局そのお悩みは解決されません。分かりやすく、ご本人が家でもできるようにかみ砕いて説明することを心掛けています」(清水さん)。

 顧客から、「こんなちょっとしたことで変われるなんて知らなかった」「コンプレックスが解消された」といった言葉をもらうことが、清水さんにとってやりがいを感じる瞬間だ。「お客様の気持ちを前向きにできた、そう実感できることが糧になり、日々の努力をしています」と笑顔で語った。単に一括りの顧客としてではなく、徹底して「個人」と向き合う姿勢。それが、「エヴァンジェリスト」として高い評価を受ける秘訣といえそうだ。