2019年10月号 <インタビュー>

沢木 恵太 氏

「健康管理は自己責任」の時代ではない!
EXと業績を高める“おせっかい”のススメ

OKAN 代表取締役 CEO
沢木 恵太 氏

「人手不足倒産」が相次ぐ今、“長期間、働いてもらう環境”への投資は不可欠となっている。OKANの沢木CEOは、自らの経験から「社食サービス」を考案。“従業員体験(EX)”向上を目的としたビジネスを立ち上げた。「健康管理をはじめ、さまざまな“おせっかい”が必要な時代」という沢木氏にEX向上のポイントを聞いた。

Profile

沢木 恵太 氏(Keita Sawaki)

OKAN 代表取締役 CEO

1985年長野県生まれ。フランチャイズ支援・経営コンサルティングを行う一部上場企業にて新規事業開発に従事。その後ゲームプロデューサー兼事業責任者、EdTech領域のスタートアップを経て、2012年12月にOKANを設立。多数のメディアで紹介され注目されている。

──EX(従業員体験)に着目したきっかけをお聞かせください。

沢木 個人的な体験と社会背景があります。以前は、経営コンサルタントとして毎月400時間ほど働いていました。仕事が楽しく、長時間労働を苦に思ってはいなかったのですが、食生活は乱れ、それが原因で体調を崩してしまいました。その体験を経て、ふと社会を見渡すと、同じように生活習慣病などをきっかけに就業継続が難しくなっている人は決して少なくない。また、育児や介護と仕事の両立がネックになって離職するケースもある。そうした「働きたいのに、働けない」という“望まない離職”を世の中から少しでも減らす事業は、今後価値を高めていくだろうと考えました。解雇規制が日本より緩やかで、人材が流動的な欧米では、就業継続を支援するための投資が従来から活発です。終身雇用制度が浸透している日本では、人材確保に対し危機感が薄かった印象がありますが、人口が減り始め状況が一変しました。EXに投資することがこれからは不可欠になっていくと考え、2012年、“働く人のライフスタイルを豊かにする”をミッション・ステートメントに掲げ、オフィスに食事を提供するサービス「オフィスおかん」を創業しました。

──なぜ、食事の提供というサービスから着手したのでしょう。

沢木 自分自身が食生活の乱れをきっかけに働き続けられなくなったということもありますが、食事は万人に実利的な価値をもたらし、就業時間内にも取りますから企業が介入しやすいと考えました。ポイントは、健康に対する意識が高くない従業員や、食事のためにオフィスの外に出たくない、あるいは出られない、食事はできるだけ安く済ませたいという人にも使ってもらえるサービスを考案したことです。CX(顧客体験)やUX(ユーザーエクスペリエンス)と同様、EXも“無理のない導線”がポイントです。従業員に無理強いしない健康管理の仕組みでなければ継続できません。従来、従業員の健康管理は自己責任とされてきましたが、結婚年齢が上がり、未婚率も上昇している現在、個人の努力には限界が生じています。自身の健康管理に手が回らない従業員には、企業が手を差し伸べる必要があり、その効果は非常に高い。バランスの取れた食事を気軽に取れる環境を用意する、そんなシンプルなことで人材の流出を防ぎ、パフォーマンス向上につながる。それを実感できる仕組みが、「オフィスおかん」です。

(聞き手・石川 ふみ)
続きは本誌をご覧ください