Trend of CX 

<インタビュー>ショーン・テイラー氏(Content Guru CEO)

生成AI「第2世代」のCC戦略

日本企業の「シビアな評価」にも対応する!  
生成AI「第2世代」のコンタクトセンター戦略とは

Content Guru CEO  
ショーン・テイラー氏

――グローバルにおけるビジネス概況について  
テイラー Content Guru は、2005年にいち早くクラウド型コンタクトセンター事業を立ち上げ、現在150カ国以上でサービス展開しています。現在も、CCaaS部門の市場において業界平均とされる5〜10%を大きく上回る成長率を維持しています。  
最大の強みは「絶対的な信頼性」です。英国ではすべての救急要請(999番)や警察、金融インフラなど、ミッションクリティカルなコールをプラットフォーム「storm」で処理しています。日本市場には約10年前に参入、実績を積んできましたが、今後はパートナーシップをさらに強化し、今後5年で日本における最大のCXプレイヤーになることを目指します。
――生成AI活用のトレンドをどう捉えていますか。  
テイラー 現在、生成AIの活用は「第2世代」に入ったと考えています。数年前、生成AIブームの初期は、多くの企業がトップダウンで導入を進めました。しかし、さまざまな技術検証の結果、「導入したものの、人員削減やコスト圧縮などの具体的な成果が出ない」という不満が生じました。  
第2世代となる現在は、企業がAIに対して明確な「ROI(投資対効果)」を求めています。単なる技術的興味ではなく、いかにコストを下げるか、あるいはいかに収益を生み出すかという、ビジネスの基本要件を満たすことが大前提となっています。

ミスが許されない日本企業のCSの期待に応える


――日本市場における生成AI活用の傾向について  
テイラー 日本市場の最大の特徴は、企業も消費者も、失敗や欠陥に対する許容度が極めて低い点です。他国であれば10%程度のエラーが許容されるケースでも日本では導入は難しいでしょう。例えば企業のコンタクトセンターやCS部門において、「ハルシネーション」は一切受け入れられません。非常に高い精度と品質が求められます。  
とはいえAIは万能ではありません。たとえばオランダのメディア企業で料金改定のクレーム対応にボットを導入した際、完璧な回答をしたにもかかわらず、オペレータに繋いでほしいというコールは減りませんでした。顧客は「怒っている感情を人間に伝えたい」からです。日本の高い品質要求に応え、かつ真の顧客満足を得るためには、こうしたAIの限界を理解し、適切に業務を切り分けることが重要です。
――Content GuruのソリューションにおけるAI活用の特徴は  
テイラー 最大の特長は「AIオーケストレーション」というアプローチです。LLM(大規模言語モデル)は数日単位で新たなモデルが登場し、ベンダー同士が激しい競争を繰り広げています。特定のAIベンダーに依存したり自社開発に固執したりすると、たちまち陳腐化するリスクがあります。  
(Content Guruの)AIプラットフォーム「brain」は、Google、Microsoft、OpenAIなど複数の最先端AIモデルから、顧客のビジネス要件や提供地域に合わせて最適なものを柔軟に組み合わせることができます。常に適材適所でベスト・イン・クラスの技術を統合できる仕組みを提供しているのが我々の強みです。
――業界共通の課題であるAIの運用コストに関するアプローチについて  
テイラー 難しい課題です。AI導入において「トークン」という言葉が使われますが、これはマーケティング用語であり、実態は「お金」です。トークン従量課金はコスト予測が極めて困難です。ある事例ですが、AIを利用した企業が「1年分の予算として確保したトークンを、わずか3日で使い切ってしまった」というケースもありました。これでは予算管理が成り立ちません。  
そこで当社は、トークンという概念を排除し、例えば「翻訳を行うロボット」「フォームに自動入力するロボット」などのタスク単位での固定料金モデルを提供しています。変動するトークンコストのリスクをある程度、吸収・管理することで、顧客が予算超過を恐れずに安心してAIを活用できる環境を整えたいと思っています。
――コンタクトセンターにおけるAI活用のあるべき姿をどう考えているか  
テイラー AIの役割は大きく2つあります。1つはパスワードリセットなどの「単純作業の代替」。もう1つは、人間が対応すべき「複雑なタスク」「緊急を要するタスク」「感情的に重要なタスク」における強力な“支援”です。欧州の高額ローンを扱う金融機関の事例では、後者が劇的な効果を生みました。AIがリアルタイムで通話の文字起こしと審査フォームへの自動入力を行うことで、入力漏れなどのミスが激減。オペレータは煩雑な記録作業から解放され、顧客との重要な対話に100%集中できるようになり、結果として処理できるローン申請件数が2倍に増加したのです。  
我々は、AIが人の仕事を完全に奪うとは考えていません。強力な伴走者としてAIを実装し、企業の持続的な成長を支援していくことが、コンタクトセンターにおけるAI活用のあるべき姿だと確信しています。
 

2026年10月30日 10時01分 公開

2026年10月30日 10時01分 更新

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