
生成AIは、コールセンターの業務を大きく変えつつある。要約をはじめとしたオペレータの業務支援、チャットボットなど、用途は広がる一方だ。しかし、導入しても成果が出る組織と、そうはなりにくい組織がある。その差はどこにあるのか。AI活用を中堅・中小企業を中心に指南する第一生命経済研究所の柏村 祐氏に、その本質を聞いた。
──コールセンターでは生成AIの使い方が多様化しています。AIを専門に研究するお立場から、現状をどう見ていますか。
柏村 生成AIの導入は、先進企業だけの話ではなくなりました。企業ごとに違いはあるものの、多くの組織が「人手不足を補う便利なツール」と位置づけています。既存業務を効率化し、現場の負荷を軽減する存在として導入している傾向が強い。ですが、生成AIは単なる効率化のためのツールではありません。業務の前提を問い直し、仕事の定義や組織の設計を変えます。
──AIは組織をどのように変える存在でしょうか。
柏村 雇用についてですが、欧米では、必要なスキルや経験などを持つ人材を、職務内容を限定した“ジョブ型雇用”が主流です。そのため、その仕事にAIが導入され、あるいは代替されるなら「人員構成が再設計される」緊張感が生じる。一方で日本は、人材を確保してから職務を割り当てる“メンバーシップ型雇用”が根強い。業務が変わっても雇用は維持される傾向にある。さらに、正社員の解雇には厳しい規制があり、簡単には解雇されません。そのため、AIは“脅威”ではなく“補完”と受け止められやすい土壌といえます。
しかし、日本の労働生産性は経済協力開発機構(OECD)に加盟する38カ国中28位、主要7カ国(G7)では最下位です。この事実から、「(AIに)脅威を感じない」こと自体がリスクといえます。“取って代わられる”危機感が薄いままでは、業務の再設計は難しい。大企業ほどその傾向は強いでしょう。もちろんコールセンターにも、十分に当てはまる話です。
──コールセンターではAIがオペレータ業務を省力化しています。
会員限定2026年03月20日 00時00分 公開
2026年03月20日 00時00分 更新