やる気アップ! オペレータを動かす効果的な1on1 第6回

2026年9月号 <やる気アップ! オペレータを動かす効果的な1on1>

野村裕美

実践編

第6回最終回

“フィードバック”力を鍛える
管理者向け1on1トレーニング法

1on1のフローを理解し実施してみたものの、フィードバックが上手くいかない。毎回同じコメントになってしまう。あるいは人員の入れ替えが多く、どうすれば恒久的に1on1の品質を維持・向上できるのか。こうした悩みをよく耳にします。管理者は、オペレータとの信頼関係を構築し、ともに成長し続けることが求められます。最終回では、管理者向け実践力アップトレーニング法を紹介します。

PROFILE
サクセス コミュニケーション代表
野村裕美
30年前にコールセンターオペレータとして勤務の後、大手通信キャリア、電機メーカーや外資系企業の大規模センターでマネジメントを務める。現在はコンサルタントとして活動し、次世代育成にも注力。2021年より消費者庁DX推進アドバイザリーボードメンバー。

 効果的な1on1を持続するには、管理職研修で基礎を学び、それをどう実践に生かしていくかが重要となります。どれだけ1on1の実施経験を積むかにかかっており、それ以外に解決法はありません。

 1on1を受けるオペレータも状況も常に変化しています。その変化を察知し、都度カスタマイズする柔軟性を身につけるには、トレーニングで鍛えるしかないのです。実践と振り返り、そのサイクルを繰り返しながら経験を積み続けます。そうです、「優秀な面談者は一日にしてならず」なのです。

 とはいえ、オペレータの成長をサポートする管理者の育成は待ったなしです。少しでも早く、多くの管理者を育成する、簡単ですぐにできるトレーニング方法を2つ上げますので、参考にしながらカスタマイズして実践してください。

今回のPoint!
トレーニング例1
オペレータの変化に気づく
“見つける視力”を鍛える

 フィードバックの際に具体的な個々の変化を伝えると言っても、日々目の前の業務に忙殺され、オペレータ個人の変化に気づくことは現実的には案外難しいものです。では、どうすれば気づけるのでしょうか? 以前、管理者に「良い点を見つけて褒めてください」と依頼したところ、普段から改善点ばかりが気になっているため、褒める点を見つけることが苦手そうでした。では、どうしたら良い変化点を“見つける視力”を身につけられるのか悩んだ結果、ある方法を思いつきました。

 管理者にオペレータ3人分の良かった点、つまり“ありがとう”を見つけてもらい、メールで管理者間で共有するのです。一見、簡単そうなことですが、最初はあきらかに苦慮していました。それでも諦めず、毎日継続しているうちに、3人どころかそれ以上の“ありがとう”に気づけるようになり、その結果、ささいな良い面にも気づくよう変化してきました。習慣化することで良い変化を“見つける視力”が向上したのです。

■ポイント

・毎日3人のオペレータへの“ありがとう”を管理者間で共有する。

・「〇〇〇をやってくれた**さん、ありがとう」と、何をしてくれたことに対するお礼なのか具体的に書く。3人分の“ありがとう”の内容を管理者間で共有する。

・もちろん、本人には都度口頭で“ありがとう”を伝える。

 皆さんは一日に“ありがとう”を何回言っていますか? カウントしたことがありますか? 周りがどんなアクションを行っているのか、そこに気づく、この“見つける視力”アップトレーニングは結構効果がありました。ぜひ、トライしてみてください。

トレーニング例2
柔軟性アップのチームロープレで
言葉の“引き出し”を増やす

 よく、「引き出しを増やす」と言われますが、フィードバックを繰り返す際に毎回同じコメントをしていては、オペレータも「またか……」と思い、徐々にモチベーションが下がり逆効果になりかねません。このため、言葉のバリエーションを増やす努力は必須です。

 そこで、管理者間でロープレを繰り返すと「このケースはそうやって話せばスムーズだね」「こんなコメントをもらうとすごくやる気になるね」など、自分にはない言葉や表現、伝え方のバリエーションを知る良い機会になります。この相互研鑽によって、徐々に言葉の引き出しも増え、余裕をもって1on1に向かうことができるようになります。

■ポイント

・管理者間で1on1ロープレを実施

・3人1組のグループを作り、①管理者役、②オペレータ役、③観察&フィードバック役を決めて、実際の1on1さながらのロープレを実施し、観察役からフィードバックコメントをもらう。また、管理者役をやってみてどうだったか、難しかった点は何か、あるいは、コメントを受けたオペレータ役はどう思ったのか、それぞれの立場から受けた印象、改善点についてシェアし、ディスカッションする。さらに、①〜③の役を順番に回し、3回行う()。

図 管理者が3人1組で1on1ロープレを実施
図 管理者が3人1組で1on1ロープレを実施

 それぞれ身近な具体例を持ち寄ってロープレすると、より効果的です。

1on1はオペレータとの伴走
成長こそが最高の“ギフト”

 「センターの管理者全員でオペレータを育成する」という意識をもって臨むと、1on1を通じ伴走しながら行う人材育成が、ますます楽しいものになることでしょう。管理者が楽しそうにしていると、「管理者って楽しそう、私もチャレンジしてみたい」につながるのではないでしょうか。

 1on1は時に厳しい対話となり、良いことばかりではありません。しかし、管理者にとっては、オペレータに伴走しながらともに山を乗り越えた先で得られる、最高の“ギフト”となります。

 これまで触れてきた1on1のフローやフィードバックのOK例を参考にしながら、オペレータの方々の成長で“ありがとう”と温かい祝福があふれるセンターになりますよう応援しております。

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会員限定2026年08月20日 00時00分 公開

2026年08月20日 00時00分 更新

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