THE FLYING PENGUINS 弦本 卓也 さん

2026年7月号 <サービスのプロに聞く>

弦本 卓也 さん

THE FLYING PENGUINS
弦本ビル 代表取締役
弦本 卓也 さん

大学卒業後、リクルート入社。不動産メディア「SUUMO」の企画運営、組織開発などを担当。複数企業を創業し経営も行う。2015年、東京都内の中古ビル購入。「弦本ビル」オーナーとして若手社会人や学生の挑戦を後押しする場を形成。2022年、リクルート退社。25年から、八重洲・日本橋で「フラペン(THE FLYING PENGUINS)」を運営中。

コミュニティは設計できる
“当事者”を生む場づくりの実践

 再開発が進む東京・八重洲。その一角にコミュニティ・バー「THE FLYING PENGUINS」はある。

 連日、バラエティ豊かなイベントが開かれる店内は、多種多様な人が集う。運営する弦本ビル 弦本卓也さんは、“コミュニティは設計できる”と考える。「コミュニティは、人が自然に集まるものではなく、どういった人が関わり、関係を生むか。これらは、ある程度は作ることができます」。

会社員にしてビルを購入
入居者探しに奔走

 弦本さんがこの考えに至ったのには、2015年に27歳で東京・神保町の中古ビルを購入した経緯がある。当時、不動産メディアの企画や運営に関わり、ユーザーの視点を実体験として理解したいと、入居者を集め、シェアハウスやコワーキングスペース、飲食店が入るビルオーナーとなった。入居者集めはそう簡単ではなく、100人以上は声をかけたそうだ。

 すると、徐々に人が集まり、イベントという場が生まれ、入居者同士の交流へと展開していった。弦本さんはこの時、「ビルの修繕を手伝ってもらうなど、入居者が関われる“余白”を作りました。余白があることで、人が関わり、交わる場ができると考えたのです」と振り返る。さらに、「最初に誰が入るか」も重要だという。「初期メンバーの性質により、その後の雰囲気が左右されます。だからこそ、初めから“どんな人に関わってもらうか”を意識していました」。

 この経験から弦本さんは、コミュニティの本質を「人と人の関係性の連鎖」と捉えるようになる。空間や仕組みの設計も重要な要素だという。「誰がいて、どんな距離感で関われるのか。立ち止まって会話が始まるなど、偶発的な出会いが生じる導線はあるか。こうした要素を組み合わせることで、関係性は生まれやすくなります」。すなわち、コミュニティとは「人を集める」のではなく、「関係性が生じる確率を高める場」だろう。

つながりの場は
一棟のビルから街へ

 現在、弦本さんが運営するのが、THE FLYING PENGUINSだ。

 “場”を八重洲・日本橋・京橋の“YNKエリア”に移し、新たな人のつながりを生もうと尽力している。

 「以前は“一棟のビル”でしたが、今は“エリア”をいかに面白くするかに取り組んでいます。人が集まり、関係性が生まれることで、街の価値が変わっていくと考えています」

 弦本さんが運営に携わるようになり、約2年が経つ。存続の理由を、「イベントはきっかけにはなりますが、それだけでは足を運び続けてはもらえません。日常的な関係が生まれる状態をつくることに重きを置いています」と説明する。

 コミュニティ運営は、短期的な収益だけで見れば、手間も費用もかかる。「理想だけでは続きませんし、収益のみを追っても集客はできません。両方を成立させる必要があります」。そこで取り入れたのが、“1日店長”という仕組みだ。特定の人に依存せず、イベントごとに異なる人が店長を務める。

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会員限定2026年06月20日 00時00分 公開

2026年06月20日 00時00分 更新

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