コラム
第132回
ちょっと高価な欲しいモノを買う時には、自分が直接カミさんに言うのは避けている、わたちゃんです。自分で「これ欲しい」と言うと、だいたい「ダメ」の一点張り。なので、カミさんと仲のいい奥様友達に密かに依頼し、「旦那さん、あれ欲しいみたいよ。いいモノだから買ってあげたら?」とアドバイスしてもらうのです。そうすると、これが不思議とすんなりOKが出るのです。
この「他人の力を借りる」戦略、実は今後のビジネス交渉のあり方を象徴しているかもしれません。今、テクノロジーの世界で急速に進んでいるのが、AIエージェント(自律型代理人)の進化です。
従来のビジネスでは、人間同士がロジックと感情を織り交ぜながら交渉してきました。しかし、AIエージェントが浸透すると、やがては各社のAIエージェントが、人間が介入しない領域で、目標最適化のための交渉を行う時代が到来します。
このエージェント同士の交渉が優れているのは、感情や個人的なバイアスが入らないという点です。人間は、気分や過去の経緯、好き嫌いで非合理な判断を下しがちですが、AIエージェントはただひたすら、設定されたゴールを達成するために、最も効率的かつ合理的な方法を選びます。
AIエージェント同士で物事が決まる未来の兆候は、リアルエージェントサービスにも見られます。例えば、労働市場を例にとると、従業員の退職をサポートする退職代行サービス「モームリ」と、企業側が従業員を引き止めるために利用する退職引き止めサービス「イテクレヤ」といったものが登場しています。これらは、人間の感情的なやり取りを排し、「退職したい」「引き止めたい」という利害の対立を、代行業者という「ヒューマンエージェント」が処理するものです。
これがAIエージェントに置き換われば、個人と企業がそれぞれのAIエージェントを使い、交渉の条件(退職時期、有給消化、退職金の上乗せなど)をデータに基づき、各々のリスクも考慮に入れながら、最適解で合意することも可能になるでしょう。感情論を排除し、ロジックとデータだけで物事が決まる世界です。
AIエージェントの時代は、交渉の効率を飛躍的に高めてくれるでしょう。しかし、忘れてはいけないのが、ヒューマンエージェントもAIエージェントも、あくまで「代理人」だということです。
ということで、僕の「ヒューマンエージェント」戦略も、うまくいくときはいいのですが、ある日、カミさんが気づいてしまって、「なんで直接言わないの?」と問い詰められて、事態が過去最悪に悪化してしまいました。エージェント頼りにして、本音で向き合う姿勢をサボってしまうのも良くないようです。AI時代も、最後に責任を取るのは人間ですからね!

2026年01月20日 00時00分 公開
2026年01月20日 00時00分 更新