NICEの日本法人、ナイスジャパン(東京都港区、オリビエ・ジオレット社長)は、コンタクトセンターCX(カスタマーエクスペリエンス)調査の結果を発表した。本調査は、5年め。
調査は、消費者・企業双方における問い合わせチャネルの利用・提供状況の把握とそのギャップの確認、コンタクトセンター機能への生成AI導入状況やカスタマーハラスメント防止条例施行の認知、ポジネガ反応の把握などを目的として実施した。
ナイスジャパン セールスダイレクターの島田宏厳氏による調査結果報告では、「疑問・不明点に対する行動」「利用/提供チャネルとその評価」「チャネル別解決度と電話のつながりやすさ」「生成AI導入状況」「2030年問題」の5つのポイントを挙げ、それぞれ解説した。
・疑問・不明点に対する行動
消費者が商品・サービスに対して疑問や不明点があった場合、まず自分で調べ、解決できなかった場合、8割弱が問い合わせており、コンタクトセンターの必要性が確認できた。一方、問題解決できなかった消費者の7~8割が、「諦める/(商品・サービスを)利用しなくなる」「他社の代替商品・サービスを購入(検討)する」という結果を踏まえ、消費者の疑問解消を支援する取り組みの重要性も確認した。
・利用/提供チャネルとその評価
消費者の利用チャネルと企業の提供チャネルを比較した。WebサイトのQ&A(FAQ)閲覧とWeb問い合わせフォームは、消費者の8~9割が利用するチャネルである半面、企業の提供実態としては6割前後とギャップが大きいことを指摘。さらに、WebサイトのQ&Aの解決認識は、多くの人に利用されているにもかかわらず、問題解決できているという認識が低い傾向にある。島田氏は、「継続的なサイト内容の見直しや、問い合わせ内容のアップデートが必要」と指摘した。一方、電話(オペレータ対応)は、解決認識は高いにもかかわらず、提供チャネルとしては年々減少傾向にあることにも触れた。
・チャネル別解決度と電話のつながりやすさ
解決度が高いのは「電話(オペレータ対応)」や「店頭・実店舗」で、もっとも低かったのは「チャットボット」だった。ただし、電話(オペレータ対応)は、消費者からは「つながりにくい(58.9%)」と感じられているものの、企業はつながりにくいことへの認識が低いというがギャップも見られた。消費者調査のうち、電話以外のチャネルを使う理由を問う設問でも、購入前・購入後のいずれも、電話以外のチャネルを選択した理由として半数以上が「電話はつながりにくいため」と回答しており、これに「電話をしたかったが電話番号がなかったため」「電話問い合わせは好まないため」が続いた。
・生成AI導入状況
企業の生成AIの導入・運用は、全体では20%強にとどまった。企業規模別にみると、大企業が31.0%、中小企業は18.7%と12.3ポイントの差があった。なお、導入効果は、「コスト削減」が66.1%で最も多かった。
・2030年問題
2030年問題の認知度は約90%と高いものの、認知者(企業)における具体的な対策実施については31.8%にとどまった。「企業への対策?援アプローチと、市場におけるDX推進ツールやサービス導?機会の潜在的ポテンシャルは?い可能性がある」(島田氏)。
これらの結果を踏まえ、島田氏は、コンタクトセンターの主要課題として「人手不足」「チャネルの整備状況」を取り上げ、「カスタマーサービスの自動化」「顧客導線の整備、継続的改善」といった、課題解消アプローチを提示した。島田氏は、このアプローチの実践基盤として、このほどリブランドしたカスタマーサービスAIプラットフォーム『CXone Mpower(旧称CXone)』に言及。「ワークフロー、エージェント、ナレッジの3つを軸として機能を提供し、フロントからバックオフィスまですべてを自動化する仕組みとなる」(島田氏)と強調した。
このほか、2025年1月に米本社CEOに就任したスコット・ラッセル氏の紹介や、2024年の日本における業績ハイライト、戦略的協業などを解説。ビジネスが毎年拡大基調にあり、現在は1万人以上のオペレータがCXone上で稼働していることも明らかにした。
2025年08月01日 17時00分 公開
2025年08月01日 17時00分 更新