コラム
第156回
サポートセンターはよくコストセンターと言われ、利益を追求する企業経営の中では、しばしばコスト削減の対象となってきました。景気が後退したり、企業が利益率の改善を求められたりしたときに、真っ先にコスト削減の対象に挙げられて、人員のコントロールに苦労した経験をお持ちの方もいると思います。
顧客からの商品やサービスの問い合わせを受け付けるサポートセンターであれば、見込み顧客に説明することでどれだけ売り上げに貢献しているかを数値化する必要があります。また、社員や販売店、代理店をサポートするセンターであれば、サポート対象の相手がどれだけ時間やコストを節約できているのかを数値化しておく必要があるでしょう。そのデータを定期的に経営にインプットすることで、経営はサポートセンターが企業の売上向上やコスト削減にどれだけ貢献しているのかを認識できます。そのため、サポートセンターのコストを削減したら、どれだけの売り上げが減少するのか、もしくはサポートを受ける側のコストがどれだけ上昇するのかを指標化して、プロフィットセンターとして位置づけておく必要があります。経営にサポートセンターがプロフィットセンターであるとの認識があれば、利益を追求する企業として、そう簡単にセンターの規模や予算の縮小などはできないでしょう。
サポートセンターではさまざまなKPIを用いて、定量的に取得可能な情報から目標を設定しています。受電率や平均通話時間、後処理時間など機械的に取得できる情報はセンターを運営するうえで非常に重要な指標です。しかし、それらの数値は直接、売り上げやコストの数値とは結びついていないので、それだけを追求しすぎると、売り上げが低下したりコストが上昇したりする恐れがあります。平均通話時間を減らそうとすると、顧客のペースよりも早いペースで話し、必要な説明を省いたり、ゆっくりと話したい高齢の顧客を急かしたりと、顧客の満足度を下げかねません。また、高い受電率を維持するために要員を増やしすぎると、余剰人員が生じて、コスト効率が悪化するでしょう。
例えば、カスタマーサポートをBPO企業などに委託する際に、サービスレベル同意書(SLA)にサポートセンターの管理システムで直接取得可能な項目だけを設定した場合、合意した数値を守るために、経営として追求すべき、顧客満足度を向上させて売上向上につなげることであったり、余剰人員を減らして効率的な運営を目指すことと逆の対応になる恐れがあります。
そのため、経営目標である「売上」や「業務効率化」をサポートと連携する必要があります。さらに「顧客満足度調査」や「NPS調査」など、間接的に取得する目標値との関連付けも必要です。それらのデータはサポート部門単体で取得することは難しい場合があり、他部門との連携が必要になるでしょう。しかし、直接取得可能なKPIと併せて目標にすることでバランスのとれた目標となり、その達成により経営が求めるビジネスに貢献できるプロフィットセンターとなるのです。
2025年03月20日 00時00分 公開
2025年03月20日 00時00分 更新