コラム
第155回
最近、顧客対応の評価が大きく向上しているサポートセンターの特徴の一つとして「サポートする業務範囲の大幅な拡大」があります。サポートセンターが経営や関連部門から求められる業務範囲は拡大傾向にあります。多くのサポートセンターから「業務範囲の拡大に対応しながら、品質を維持・向上することに苦労している」との話をよく聞きます。
例えば店舗や販売員、代理店などを中心に営業をしている企業のサポートセンターは、従来、販売チャネルへの取次業務が主な機能であったので、センターに連絡をしてきた顧客の質問には対応可能な範囲で答え、範囲を超えると顧客を最適な店舗や販売チャネルに誘導していました。しかし、近年、店舗や販売チャネルは生産性を上げるために要員を減らし、営業担当者の時間創出のために電話対応する時間を削減するようになってきました。従来、各店舗や販売チャネルごとに配属していた電話対応要員を抑えて、サポートセンターで集中対応することで生産性を上げています。
私が利用する証券会社は営業担当者がいる支店に連絡しても、一旦、サポートセンターにつながり、用件を確認します。そして、従来は営業担当者から聞いていた内容をすべてセンターの担当者が答えてくれます。この証券会社のサポートセンターが対応する業務範囲は広く、「実際の証券取引」以外はほぼすべて対応してくれます。こうした対応は営業担当者の時間創出に役立つだけではなく、顧客にとっても営業担当者が不在でも、すぐに課題が解決できるので助かります。
銀行に海外送金の方法を確認した際も最寄りの店舗に行くと「法人窓口がある店舗に行くか、サポートセンターに聞いてほしい」と言われました。サポートセンターに電話すると電話担当者は業務に精通しており、こちらの理解度を確認しながら分かりやすい説明をしてくれました。サポートセンターの説明で十分に理解し疑問点はすべて解消されたので、私は電車で移動する時間や店舗で待たされる時間を削減できました。問い合わせる内容によっては店舗に行っても即答できないケースがあるので、ナレッジが集約されているサポートセンターに聞いたほうがよいと感じたくらいです。
多くの企業のサポートセンターでは、サポートの業務範囲が店舗や販売チャネルよりも狭く、さらに詳しい内容を聞くと「これ以上に詳しい内容については店舗に確認してください」と言われます。しかし数多く存在する店舗や販売チャネルのすべてに、たまにしか来ない問い合わせ内容にも対応できる要員を配置することは非効率です。サポート可能な業務範囲が広いサポートセンターはより多くの課題を解消できるので、業務範囲が狭いセンターに比べて明らかに顧客満足度が高くなります。サポートセンターは「あらかじめ定められた範囲のみをサポートする」位置づけから、「顧客の課題はすべてサポートセンターで責任をもって最後まで対応する」という方針に変えることで、自ずとサポート品質が向上し顧客満足度が上がるでしょう。
2025年02月20日 00時00分 公開
2025年02月20日 00時00分 更新