ソフトバンクの子会社であるGen-AX(ジェナックス、東京都港区、砂金信一郎代表取締役社長 CEO)は、照会応答業務の効率化を支援する生成AI SaaS『X-Boost(クロスブースト)』の提供を開始した。
Gen-AXは、生成AIを活用したプロダクトの開発・提供、コンサルティング事業を柱とする。砂金氏は、「遅くとも、2027年には生活者のライフスタイルに寄り添い、判断を支援・代行するAIエージェントが普及しています。これに伴い企業側も顧客接点に個社ごとの“AIエージェント”を立ち上げることが必要になります」と強調。企業のAIエージェントを立ち上げる手前の段階として、カスタマーサポート業務を効率化/自動化し、企業内に蓄積されているデータをAIが学習しやすいように整理することを支援する。
こうした構想を実現するプロダクトの第1弾と位置づけているのが、クロスブーストだ。具体的には、テキストチャネルによる照会応答業務の効率化を図る。オペレータが問い合わせ内容を入力すると、FAQや照会履歴といった社内データを検索し、それらをもとに最適な回答案を自動生成する。RAG(検索拡張生成)やエンベディングモデルによる精度の担保に加え、AIモデル/データの効率的な運用を実現するためのLLMOpsによって、現場でAIの精度の継続的向上が可能なことを特徴とする。プロダクトマネージャーの永野 玲氏は、「自社専用の“相棒”として成長させていくうえで重要」と説明する。このほか、最小限のオンボーディングで操作可能な「直感的なUI/UX」、国内サーバでデータを管理する「セキュリティ」を特徴として挙げた。
拡販は、ソフトバンクと連携し、照会業務の多い金融(カード、保険、銀行・証券)・小売り・製造(ソフトウエア、自動車、精密機器)の7業界に特化して提案していく方針だ。100社導入を目指す。ソフトバンク 専務執行役員 法人統括/Gen-AX 取締役 COOの藤長国浩氏は、「まずは注力業界の大手企業と成功事例を作って、横展開していきます。AIが当たり前に使われる社会を描いている」と意気込む。すでに保険会社および小売において先行導入が進んでいるという。
クロスブーストに続く第2弾プロダクトとして、自動音声応答を実現する自律思考型AI SaaSを2025年度中にリリースする予定。砂金氏は、「まずは応対の現場で流通しているデータをもとに育ててから自動応答に取り組む、という連続性が大事」と述べる。グループ内企業のSB IntuitionsとLLM(大規模言語モデル)に係る実証実験を行い、連携を図る予定。
2025年01月24日 12時00分 公開
2025年01月24日 12時00分 更新