コラム
第142回
フィリピン語学学校のスタイルに学ぶ!
知っておくべき3つの新人教育施策
顧客対応するサポート担当者への教育は、品質維持・向上のために欠かせません。各社、業務に精通したスタッフが社員教育や品質管理の担当者となり、過去の豊富な業務経験をベースとして「どのような顧客対応をすると顧客満足度が高まるのか」、試行錯誤しながら伝えていることも多いでしょう。しかし、サポート担当者の教育や指導にあたる人は、業務や顧客対応のスペシャリストではあっても、教育のスペシャリストではないことが多くあります。
サポート担当者は新卒社員や中途採用、派遣社員などその属性はさまざまです。新卒であればどのような教育スタイルでも比較的すんなりと受け入れられますが、中途採用や派遣社員の場合、過去の仕事で培った経験やノウハウに一定のプライドを持っているケースがあり、教育方法には配慮が必要です。せっかく苦労して採用したサポート担当者が教育担当の熱心な指導を受け、パワーハラスメントと捉えられたり、自信をなくされて新人研修期間やフォローアップ研修の直後に早期退職してしまうこともあるでしょう。しかし、原因が教育方法にあることに気づくことは困難です。
「社会人向け教育」とはどのようにしたらよいのでしょうか。先日、私が短期留学したフィリピンの英会話学校は社会人向けに特化しており、社会人向けの教育方法として学ぶべきポイントがいくつもありました。50分間のマンツーマンのレッスンが1日に8コマ、レッスンごとに教師が代わって行われ、教師全員に共通していた三点をご紹介します。
一点目は「生徒に対して明るくポジティブに接する」ことです。毎回、明るい笑顔での挨拶から始まり、常に雑談や冗談を交えながら楽しくレッスンを進めます。
二点目は「生徒を褒める」ことです。それぞれのレッスンの最後に必ず教師からのフィードバックがありますが、教師が「Good Point」をたくさん言ってくれます。その褒め言葉の引き出しの多さには驚かされます。改善点は「Bad Point」とは言わず「Recommendation(お勧め)」と言い、指摘の数も褒めた数の3分の1以下です。沢山、褒められた後に改善点を絞って指摘されるのでスムーズに受け入れられますし、翌日までに絶対に改善しようという気持ちが湧いてきます。
そして最後に「生徒のプライドを傷つけない」ことです。当然、誤った回答をすることも多々あるのですが、「これは難しい質問だから間違って当然だよ」とか、「多くの日本人が間違うところだからね」など、必ずフォロー言葉を添えてくれるので、決して「自分だけができていない」という気持ちにさせません。
時間や労力を含め多大なコストをかけて採用・新人研修をしたサポート担当者が早期に退職することは企業にとって大きな損失です。教育や指導の方法を「社会人向け教育」の観点から見直すことで早期退職を削減できるだけではなく、サポート担当者のモチベーション向上にもつながるのではないでしょうか。
2024年01月20日 01時05分 公開
2024年01月20日 01時05分 更新
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