コラム
第143回
トラブルで実感した「ワンストップ」のありがたみ
顧客視点で“企業間サポート”を連携しよう
今年の正月の早朝、飛行場への移動中に、メールで搭乗予定の札幌便が欠航したことを知りました。スマートフォン(スマホ)で当日の別便がすぐに予約できましたが、もしスマホがなかったら空港に着いて非常に慌てていたことでしょう。
今やスマホがないと、あらゆる生活が円滑にいかなくなっています。先日、昨年購入したばかりのスマホの調子が悪く、メーカー直営店で確認したところハードウエアの故障と診断され、部品交換になりました。これまで同じメーカーのものを使い続けており、機種変更でもスムーズにデータなどが引き継ぎできていた信頼感から、言われるがままにバックアップをとって修理にだしました。しかし、数時間後に戻ってきたスマホは基盤の部品が交換され、バックアップからの戻しも通話もできませんでした。
直営店で1時間ほど待たされ、このままでは「明日からの仕事にも影響がでるのでは」と不安になり、サポート担当者にいろいろ質問をしたのですが、明確な回答はありません。原因は、交換した部品のOSのバージョンが最新でなかったことと、携帯キャリアのSIMが物理SIMではなくeSIMを使っていたことでした。eSIMは物理SIMに戻さねばならず、直営店では対応できないので携帯キャリアの店舗に行く必要がありました。結局、少し離れた携帯キャリアの店舗と直営店の間を往復して問題は解決しましたが、「端末や通信に相当精通した人でなければ状況を理解できない」と感じました。また、スマホには銀行や証券、クレジットカード、交通系カードなど、さまざまなアプリが入っており、スマートウォッチとも連携していたので、すべてがログオフ状態となり一つひとつ元に戻さなくてはならない事態となりました。さらに、仕事で利用するアプリの二段階認証がスマホアプリに依存していたため、修理が終わるまで仕事ができない状態となりました。
スマホは多機能化が進み、さまざまな機器やアプリと連動していて非常に便利なのですが、ひとたび故障すると、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼします。そのようなときに、一カ所ですべての問題や疑問が解消できれば、これほど心強いことはありません。今回の故障では、メーカー直営店と携帯キャリアのサポートスタッフがそれぞれの業務範囲を超えて連携した対応をしてくれたので、その日のうちに不具合を解消することができました。
スマホに限らず、例えば銀行とクレジットカードなどさまざまな企業が連携したサービスも増えています。顧客の利便性の向上のために企業間で機能連携したものの、サポートが連携されていなければ、いざ障害や疑問が生じたときに顧客は問題の切り分けができず、どこに問い合わせをしたらよいのかがわかりません。そうしたサービスを提供している企業は、“顧客視点でのサポートの在り方”を見直すことが求められています。
2024年02月16日 00時00分 公開
2024年02月16日 00時00分 更新