コラム
第143回
アウトバウンド・コール
次々とターゲット先に電話をかけていく一斉アウトバウンド・コールがある。コンタクトセンターの効率性を高めるため、対象リストに自動的に電話がかかり、相手が出たら担当オペレータを割り当てる技術もある。
最近、無作為に電話をかけてくるアウトバウンド・コールが減ったと思う。以前は、マナーの悪い電話もあり、不愉快に感じることもあった。仮に丁重な口調であっても、受電者の時間を占有しかねないから、評判は悪い。私の経験だが、タイミングが良いと、新しい情報や気付きに結び付くこともあった。今では、相手の番号が表示されるとともに、電話を使った詐欺の手口が知られているため、知らない番号からの電話に警戒心が広がっている。迷惑電話とされる電話番号を共有しているサイトやアプリもあるから、スマホユーザーには心強い。
一方で、アウトバウンド・コールセンターの求人は常にある。企業が正当に保有する顧客リストを使った架電である。市場調査やセミナーの参加者へのアプローチなどの場合は、顧客との関係性が出来上がっていないから、断られてしまうことが多い。これは仕方ないことであると割り切ることができればよいのだが、コンタクト率などの目標を設定されていると、オペレータの精神的ストレスになりやすい。一方、既存顧客へのフォローアップについては、顧客の嗜好が分かっている前提に立てば、アウトバウンドは顧客から感謝されるはずだ。だが実態は、内容が顧客の希望に合っていなかったり、フォローアップと言いつつ、商品やサービスを販売することを目的としていると、ストレスにつながってしまう。結局のところ、アウトバウンドのオペレータの時給は少し高めに設定されている。
こんな事例がある。靴の購入者に、靴墨などの関連商品の案内を電話でしたところ、ごく稀であったが、もう一足購入する人がいた。これを好例として、関連商品の案内をルール化して、目標も設定した。すると、顧客からもオペレータからも評判が悪く、もう一足買う人は、ほとんどいなかった。そこで、購入後の顧客に、靴の磨き方だけを案内するように変更し、売り込みを一切しないようにしたところ、かえって追加購入の割合が上昇した。目標設定したことで、傾聴せずにトークが早口になってしまったが、目標を置かないことで対話に余裕が生まれ、追加購入に至ったのだろう。皮肉のようであるが、目標設定が悪影響したのである。
プッシュ型の営業行為は、電話からデジタルチャネル、とくにメールに移行している。だが、メールがあふれる中、利用者に読んでもらうのは大変だ。各社で試行錯誤が続けられている。対象セグメントごとに最適なコンテンツを作成し、検討の度合いやリンクをクリックしたなどのアクションに応じて、あらかじめ設定しておいたストーリー性のあるメールを、決められたタイミングで自動的に送信する仕組みもある。顧客の反応を想像しながら、ストーリーの検証を進める手順は、意外とおもしろい。
もはや、電話もメールも、数多く実施すればヒット件数が上がるという時代は終わった。利用者視点でコンタクトすることで、成果に結びつく。
2024年02月16日 00時00分 公開
2024年02月16日 00時00分 更新
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