IT

2024年1月号 <IT企業に聞く!>

シスコシステムズ

柳原 照憲 氏

柳原 照憲 氏
コラボレーションアーキテクチャ事業 CX営業部 部長

<コーナー解説>
ITソリューションベンダーのキーマンに製品・販売戦略を聞きます。

シスコシステムズ

非言語情報を応対に活かす
AIで実現する「リアルタイム・メディア・モデル」

企業PROFILE

所在地:東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー
代表者:中川いち朗 代表執行役員社長
設立:1992年5月22日
資本金:4億5000万円
従業員数:1300人(2021年8月現在)
URL:www.cisco.com/site/jp/ja

 「コミュニケーションにおいて、声色、表情、ジェスチャーといったノンバーバル(非言語)要素が占める割合は大きい」。そう強調するのは、シスコシステムズ コラボレーションアーキテクチャ事業 CX営業部 部長の柳原照憲氏だ。一例を挙げると、「言葉には表さないが、不満そうな声色の顧客の発話」をテキスト化した場合、テキスト上には“顧客の不満”は表現されない。柳原氏は「とくに日本人は、コミュニケーションスタイルが高コンテキストなため、発生しやすい」と指摘する。

 国内外においてコンタクトセンターにおける活用が盛んなLLM(大規模言語モデル)でも、こうしたギャップを理解するのは難しい。同社は、その現状に一石を投じるかたちで「RMM(リアルタイム・メディア・モデル)」というAI活用に関する新概念を打ち出した。同モデルは、テキスト、音声、画像のそれぞれに特化したAIを独自の方法で組み合わせており、これらのメディアから得る情報を統合、用途に応じた「結果」を生成する。

 RMMを具現化する機能として、コラボレーションアーキテクチャ事業の柱の1つであるWeb会議システムにサマリのリアルタイム自動生成機能を適用。対話のテキスト化に加え、「誰が・いつ・どんな反応を示したか」を声や画像から判定して可視化。会議中、あるいは会議終了後に確認できるようになる。「今後、同じく事業の柱であるクラウド型コンタクトセンター『Webex Contact Center』にも同機能を搭載する方針です」(柳原氏)。ノンバーバル情報を可視化できれば、顧客やオペレータの感情の推移に基づいたフォローや定性的な応対評価の自動化も実現できそうだ。

 コンタクトセンター向けのAI活用は、オペレータの負荷軽減を図る機能の拡充に注力。例えば、応対中、オペレータに一定以上のストレスがかかると、「応対後に強制的に休憩時間を取得」「音楽・動画を流す」といったリフレッシュを図るための措置を行う機能(ベータ版)を追加予定だ。このほか、同社独自の生成AIを音声データのパケットロス(遅延や断絶)の復元に活用。顧客またはオペレータの声が聞き取りにくくて「何度も聞き直す」という、CX/EXの両方に関わる“不満体験”を防止する。

 提供開始以来、急速に機能拡充が進むWebex Contact Center。2024年初頭には、CPaaS(Communication Platform as a Service)との統合も予定している。「将来的には1つのプラットフォーム上であらゆるコミュニケーションチャネルを一気通貫で提供する計画」(柳原氏)という。

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2023年12月20日 00時00分 更新

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