2022年1月号 <インタビュー>

名倉 真弓 氏

電話でもWebでもワンストップ対応!
キャッシュレス社会を支えるセンター改革の全貌

三井住友カード
執行役員
オペレーションサービス本部 本部長
名倉 真弓 氏

クレジットカード大手の三井住友カードは、コールセンターとWebの両面から顧客接点改革を断行。ホスピタリティある有人対応とセルフサービスを両立、ワンストップ対応を推し進め、カスタマーエクスペリエンス向上を目指す。コールセンターを管轄するオペレーションサービス本部 本部長の名倉氏に改革の要諦を聞いた。

Profile

名倉 真弓 氏(Mayumi Nagura)

三井住友カード 執行役員 オペレーションサービス本部 本部長

日興證券(現SMBC日興証券)入社後、個人営業、本社企画、コールセンターの立ち上げを経て、2004年同社コールセンター長に就任。2013年にグループ会社、三井住友銀行のコールセンター改革にも携わる。SMBC日興証券で支店長、三井住友銀行でのエリア支店長を経て、2019年から三井住友カードのコールセンター改革に参画し現在に至る。

──新型コロナ禍による消費行動の変化などから、キャッシュレス決済の利用が増えています。市場をどのように捉えられていますか。

名倉 キャッシュレスとひと口に言っても、クレジットカード以外にも、デビットカードや、電子マネー、QRコード決済など、多彩な決済手段が登場し、かつ国策としてキャッシュレス化が推進されてきました。そこに新型コロナ禍が起き、利用に拍車がかかりました。対面でも非接触型決済が主流となり、巣ごもり消費におけるECサイトでの決済も増えています。クレジットカードだけ見ても、2015年度から2020年度までで約25兆円も市場規模は拡大しています。

 同時に市場全体の課題となっているのが、不正利用の多発です。さまざまな手段でお客様のカード番号を不正取得し、悪用するケースが後を絶ちません。安心・安全にカードをご利用いただくためにも、不正防止の取り組みがより一層重要になっています。

──競合も激しそうです。

名倉 現在のキャッシュレス決済比率は約30%ですが、政府は2025年までに40%を目指す方針です。そうなると、競合云々ではなく、まずは業界全体で、さまざまな決済手段を融合させながら、お客様のユーザビリティを高めてキャッシュレス市場全体を底上げする必要があります。それを前提としながら、当社の優位性を示していきます。会員様にはたくさんの便利な機能や、安心・安全にご利用いただくための取り組みを訴求し、加盟店様には多彩な決済手段に対応したオールインワン決済端末「stera terminal」を提案するなど、ブランド価値を高め、当社を選んでいただくことを目指しています。

6セクションを1つの総合窓口に統合
マルチスキルで一元対応を目指す

──サービスが多様化すると問い合わせも増えると思います。顧客接点の取り組みを聞かせてください。

名倉 コールセンターでは3年前から改革に取り組んでいます。具体的には電話も含めお客様が照会や手続きをされたい時に、希望されるチャネルでコンタクトできストレスなくお取引いただけるようにチャネルを整備していくということです。センターも以前は6つのセクションに分かれていましたが、それを1つに統合することで転送を削減し、お客様から見たワンストップの実現を目指しています。例えば、利用明細について問い合わせた後にリボ払いについて相談したいという場合、総合窓口からファイナンスデスクに転送をしていました。顧客体験を鑑みれば、こうした転送は基本的にゼロにすべきで、マルチスキルのオペレータがすべての問い合わせに対応できるよう目指しています。

 もちろん、専門知識を持ったスタッフが時間をかけて応対したほうがいい案件もあります。例えば、借り入れの相談や不正利用の被害に遭われた方の対応は、専門スタッフの方が安心できます。基本的にはワンストップ対応の窓口ですべて受け、必要に応じて専門デスクと連携する体制を敷いています。

(聞き手・山本 浩祐)
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2024年01月31日 18時11分 公開

2021年12月20日 00時00分 更新

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