2022年1月号 <特集>

特集扉

CX高める究極の1to1
「お勧め」のススメ

Part.1 <現状と課題>

データ活用とオムニチャネルで実現する
タイミングを捉えた“刺さる”提案

膨大なデータやAIを活用し、“1to1”な提案を志向するコールセンターが増えつつある。成否のカギは、最適なタイミングとチャネルで実践することと、データ分析をベースとした入念な下準備だ。Part.1では、識者へのヒアリングをもとに、“刺さる提案”を実現するための、コミュニケーション設計やデータ分析のポイントを検証する。

 従来、コールセンターが実践するキャンペーン案内やアップ/クロスセルといえば、すべての顧客に同一のキャンペーン情報を提供する画一的なオペレーションがほとんどだった。属性や購買履歴をもとに対象顧客を絞り込む事例も多いが、ワン・トゥ・ワン(1to1)対応と呼ぶところまで個別最適化はできていない。こうした“数打てば当たる”方法は非効率で、顧客満足(CS)を下げてしまうリスクもある。

 より効率的かつ効果的に行うには、さらに顧客をよく知り、その顧客に合った提案が必要だ。AIの進化によって、属性や履歴だけでなく、声(VOC)や行動を含めた膨大なデータをもとに多角的に分析したうえでの、“刺さる提案”が可能になっている。

 実践のポイントは、(1)タイミングを捉える、(2)複数チャネルを組み合わせる、(3)対象顧客を的確に抽出するために必要なデータを取得、分析する──の3つだ。

Part.2 <ケーススタディ>

オペレータの「提案力」を平準化する!
AIが支援する“個別最適化”の実践

タイミングよく、必要な顧客に最適な方法で提案するには、活用しやすいシステムとオペレータのスキルアップの支援が欠かせない。インサイドセールスを実践するNTT東日本、データをもとにインバウンドでペイン解消のための提案を行うJ:COM、代理店の営業をサポートするAIシステムを開発しデータ活用を推進する三井住友海上火災保険──3社の取り組みを検証する。

CASE STUDY 1:NTT東日本

オペレータは「コンサルタント」
顧客の“解像度”を上げる仕組みと体制

 NTT東日本は、サービス開発部門の中でBtoB、とくに中堅中小企業を対象とした「Webリードクロージングセンタ」のインサイドセールスチームを運営している。プロモーションの立案・実施やWeb制作のチームを同担当内に有しており、協働しながら、施策の成果を共有しPDCAを回すことで、成果拡大を図っている。

CASE STUDY 2:J:COM

最大の狙いは“痛点の解消”
サポートを個別最適化するスクリプトの秘訣

 ケーブルテレビ事業を軸に、携帯電話や電力なども提供、多方面で顧客の暮らしをサポートするJ:COM。同社に蓄積されている顧客情報は極めて膨大だ。
 2020年、営業とコールセンター、訪問修理のサービスエンジニア、それぞれの顧客接点で得られる情報を一元管理する社内システム「Hook-Row(フクロウ)」を開発。これにより、例えば、訪問修理に行った日時、その際にサービスエンジニアが案内したことをコールセンターでもリアルタイムに把握できるたようになったため、問い合わせがあった際、訪問時の対応を踏まえた応対が可能になっている。

CASE STUDY 3:三井住友海上火災保険

「打率の高い顧客」の発見からトーク支援まで
AIがもたらす最強の接客支援

 三井住友海上火災保険は、ベストプラン提案型AIシステム「MS1 Brain」を開発。2020年2月にリリースし、顧客ごとに最適な提案を実践する営業活動を支援している。営業支援であるSFAと、顧客情報の登録や検索ができるCRM機能を合わせ持つシステムで、AIでニーズを予測・分析したうえで、顧客のニーズにマッチした提案をサジェストし、さらに代理店(募集人)はスマートフォンなどのデジタルデバイスを介して顧客とのコミュニケーションを円滑に進めることができる。

2024年01月31日 18時11分 公開

2021年12月20日 00時00分 更新

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