2021年11月号 <事例研究>

事例研究

リコージャパン

CRM刷新からボイスボットまで
最新ITで徹底武装した“CX拠点”の全貌

リコージャパンは、製品ごとに分断されていたCRMデータベースを統合、営業やカスタマーエンジニアなどが得た情報を蓄積して、顧客ごとに最適化した提案活動につなげる「リードジェネレーション活動」を実施している。コールセンターでは、より適切な提案を促すためコミュニケーター支援体制を整備。業務効率と顧客満足度向上の両立を図っている。

 プリンタやプロジェクタ、サーバーなどのオフィス機器のほか、数十種類ものデジタルサービスを展開するリコー。同社は、グローバルにてリコー製品を活用する約140万社の顧客企業に対し、約1万1000人のカスタマーエンジニアが約4000社のITパートナーと連携、製品やサービスを快適に利用できるようサポートしている。

 日本国内の顧客をサポートするリコージャパンが運営するリコーテクニカルコールセンターでは、修理や操作などの問い合わせに最前線で対応し、顧客とカスタマーエンジニア約4600人を結ぶ“ハブ”の役割を果たしている。ミッションは、「CXの向上による経営貢献」だ。

 オフィス機器の営業にとって、最大のタッチポイントは総務やIT部門。しかし、テクニカルコールセンターには“実際にサービスを使っている業務部門(現場)”からの問い合わせが寄せられる。結果、より多くのVOC(顧客の声)を収集しやすく、タッチポイントも広げやすい立場だ。営業とテクニカルコールセンターが連携し、顧客情報を統合・管理することで、より大量かつ深いデータをもとに、より良いCXを提供できる──これが「リードジェネレーション活動」だ。このような役割を重視した結果、2021年4月、テクニカルコールセンターはマーケティング本部へ移管された。

 従来は、センターに蓄積したVOC(顧客の声)は、製品・サービスの改善に活用するのみで、コールセンターの対応を通じた提案には活かせていなかった。そこで、セールスフォース・ドットコムが提供するCRMプラットフォーム「Salesforce Service Cloud」を導入、製品軸ではなく、顧客ごとに情報基盤を統合した。さらに、対応を通じて問題の背景を深掘りするといったコミュニケーションを重ね、データを蓄積。そのデータをもとに、より適切な解決案や、パーソナライズされた提案を実施している。

 これにより情報が探しやすくなったとはいえ、応対時に参照すべき顧客情報は増え、提案の幅も広がったため、コミュニケーターの新たな業務が増加した。BtoBのテクニカルサポートは、対応の迅速さが顧客満足度に直結する。製品・サービスが利用できずビジネスが止まるダウンタイムを迅速なサポートによっていかに短縮するかは、テクニカルコールセンターの最大のミッションだ。

 そこで同社では、さらなる応対時間短縮を目的に、コミュニケーターの業務支援・教育に着手した。具体的には、すべての支援システムの根幹となる社内FAQを整備。また、このナレッジを効率的に活用するため、対応中に提案すべきサービスをサジェストする、音声認識システムの導入も同時に進めている。

マーケティング本部 CXセンター 首都圏・関東第一コンタクト部 マルチComグループ リーダー 木内 聡氏(左)、部長 加藤道夫氏(右)

マーケティング本部 CXセンター 首都圏・関東第一コンタクト部 マルチComグループ リーダー 木内 聡氏(左)、部長 加藤道夫氏(右)

図 コンタクトセンターのミッション

図 コンタクトセンターのミッション

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Center Profile

センター

複合機やオフィス機器などの修理や操作方法に関する問い合わせに対応しているテクニカルコールセンター。北海道、宮城、東京(2)、神奈川(2)、愛知、大阪、広島、福岡、沖縄と計11拠点に、全国で約1000人のスタッフが在籍している。