2021年10月号 <キーパーソン>

三木 要 氏

テレワークで経営リスクが上昇
不正調査・危機管理をコールセンターで支援

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー
フォレンジック&クライシスマネジメントサービス統括 エネルギーリード パートナー
デロイト トーマツ テレワークセンター代表取締役社長
三木 要 氏

PROFILE

三木 要 氏(Kaname Miki)

早稲田大学法学部卒。大手電力会社のクライシス対応責任者を務める。巨額の損害賠償対応についてチームアップおよび制度の基本設計、マネジメントを統括し、マスコミ対応や官公庁折衝にも従事。一部上場素材メーカーの事業企画部長を経て2015年より現職。

2021年5月、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーが、アウトソーサーのいわきテレワークセンターを買収した。新型コロナ禍で急速に普及したテレワークにより、不祥事やサイバー攻撃などが横行。経営リスクが高まるなか、危機管理サービスの体制強化にコールセンターを活かす狙いがある。

──コールセンター事業者を買収した背景を教えてください。

三木 現在、M&A支援とフォレンジック&クライシスマネジメント(不正調査・危機管理:F&CM)をビジネスの柱にしています。とくにF&CMでは、企業の不祥事や不正行為が発生した際、被害拡大の防止、お詫び・釈明、危機の回復などに努めますが、これは当該企業内だけで完結することはまずありません。必ずコンシューマ(消費者)対応が必要になり、そこで重要となるのが、コールセンター事業者です。当社はこれまでF&CMにおける消費者対応は、外部のコールセンター事業者と連携していましたが、マネジメントが難しい面が多々ありました。自社でコールセンターを擁した方が、我々が満足できるエンドツーエンドのサービスをクライアント企業に提供できると考え、いわきテレワークセンターの全株式を取得し、デロイト トーマツ テレワークセンターを設立しました。

──同センターの具体的な役割は。

三木 F&CMサービスでは、不正調査・危機管理だけでなく、レピュテーションの毀損防止や消費者との信頼回復までサポートします。まずはマス対応で、記者会見やWebページを通じ、お詫び・釈明します。一方、現在はSNS利用も含めて個人が企業を攻めて炎上させてしまう時代です。従来以上に丁寧に事実関係を説明し、納得いただく必要があるのです。刻一刻と変化する状況を踏まえつつ、柔軟で機動性を持ってセンターを運営することで、質の高い消費者対応を実践できると考えます。

──F&CMのニーズは増えているのでしょうか。

三木 コロナ禍以降、増えています。緊急事態宣言が発出され、大企業・中小企業を問わずテレワークへ移行しましたが、十分な準備が整わないまま“コロナだから仕方ない”という甘い見通しで導入したケースが非常に多いのです。情報管理やセキュリティの仕組み、社内制度や手続きなどが未整備のままなので、どうしても想定外のことが起きます。実際にサイバー攻撃や情報漏えいなどの不適切事案が発生しています。今後、コロナ禍が収束しても働き方改革の一環でテレワークが定着すると予想されますので、これに伴いクライシスマネジメントの事案は今後も増え続けると予想しています。

──今後の展望は。

三木 チャットボットやAI活用など顧客接点のデジタル化が進むと、コールセンターは縮小するという見方があります。しかし、F&CMのような人にしかできない機能特化した業務は必ず残る。これを付加価値としてさらに品質を高め、デロイト トーマツ グループ全体に提供することが次のステップです。