2021年10月号 <事例研究>

事例研究

三井住友カード

セルフサービスと「手厚い対応」を併用
ワンストップ問題解決でCX向上に挑む

コロナ禍による消費行動のデジタル化は、クレジットカード会社への問い合わせ傾向を大きく変えた。業界大手の三井住友カードは、自己解決のニーズの高まりに応え、デジタルチャネル戦略を積極展開。同時に、有人対応の満足度向上を目指し、組織改革に着手。全チャネルでのワンストップ対応でCX向上を図る。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、いわゆる「巣ごもり消費」が拡大。消費行動の多くがオンラインにシフトし、インターネット上でのクレジットカードの利用も増えた。結果、各カード会社に対する問い合わせ傾向も変化している。三井住友カード コールセンター 部長代理の冨浦優也氏は、「オンライン決済に関する問い合わせは、インターネット利用の延長にあるため、電話やメールではなく、そのままネット上で自己解決できることがもっともエフォートレス」と強調する。同社では、オンライン上で確実・迅速に問題を解決できる環境の整備とともに、自己解決できずにサポートを必要とした、「苦労した顧客」に有人リソースを集中、解決するための体制構築に取り組んでいる。

 メインの問い合わせチャネルは、今なお電話だが、チャットやメールなどでも有人対応し、FAQ、IVR、マイページなどを改善、デジタルシフトを図っている。さらにビジュアルIVRを実装し、コールリーズンごとに最適なチャネルに誘導している。

 たとえFAQを充実しても、それを見ずに「困ったときはまず電話」という顧客も少なくない。このため、電話対応の自動化も図っている。請求額などの照会や再引き落とし日のアナウンスなどは、そのままIVRで対応完了できる 。会員番号を入力すると、基幹システムに引き継がれ、必要な手続きを実行できる仕組みで、自動対応は呼量全体の3割をカバーしている。

 このように自己解決を推進する一方で、解決できなかった問い合わせは積極的に対応し、品質を上げる取り組みも並行実施している。とくに力を入れているのが、転送率の削減だ。

 コールセンターは、従来、問い合わせの内容ごとに6つの部署に分かれており、転送が多数、発生していた。そこで同社は部署の統合を図った。「各デスクという概念から脱却し、ひとつのコールセンターとして一元対応していくことで、リソース最適化を図り、人手不足解消も図りました」と、一元化の経緯をグループ長でWFM(ワークフォース・マネジメント)を担当している関本篤史氏は振り返り、そのためのマルチスキル化やIT投資について説明を始めた。

(左から)コールセンターグループ長 関本篤史氏、部長代理 冨浦優也氏、グループ長 槙場有佑氏、グループ長 山本 久氏

(左から)コールセンターグループ長 関本篤史氏、部長代理 冨浦優也氏、グループ長 槙場有佑氏、グループ長 山本 久氏

図 同社のチャネル構成図

図 同社のチャネル構成図

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Center Profile

センター

大阪、東京、北海道(業務委託)の3拠点でコールセンターを運営し、約1200席を稼働。オペレータは派遣社員が中心。総合窓口として、解約や請求額の照会、カード利用に伴うさまざまなトラブルなどに対応している。チャネルは電話が中心で、メールや有人チャットでも対応している。