2021年9月号 <サービスのプロに聞く>

薄井 貴行 さん

<コーナー解説>
店舗など、コールセンター以外を含めた接客やサービスのプロにその心構えやノウハウを聞きます。

顧客の“癖”も掴む対話と観察
事故も予防する『街の自転車屋さん』の接客術

サイクルベースあさひ
高田馬場店 店長
薄井 貴行 さん

Profile

新卒でアパレル会社に入社し11年間、販売業務に携わる。自転車のカスタマイズに魅了されたことをきっかけに、2011年サイクルベースあさひに転職。修理・販売などの業務を務める。2014年に岩槻店にて店長に着任、浦和東店を経て、2020年に高田馬場店に異動した。

 通学・通勤、ダイエット、休日のアクティビティ──自転車の用途や楽しみ方は幅広い。用途が幅広い分、サイクルベースあさひに来店する顧客のニーズもさまざまだ。購入相談だけではなく、修理を目的とする場合も多い。

 接客の際、高田馬場店 店長の薄井貴行さんが最も注意しているのは、店員と顧客にある知識量のギャップだ。「一般のお客様は、自転車内部で何が起きているのか分かりようがありません。修理が必要なときは、“本当に必要な修理”であることを納得してもらうことが大事」と、薄井さんは話す。必要性が分かりづらい場合は、目の前で分解したうえで動かして、「異音が聞こえます」「錆びています」など、実際に目で見てもらい、放置することの危険性を伝え、顧客に修理を行うか決めてもらう。

 販売の提案の際も顧客が自ら納得して選んでもらうことが重要だ。単におすすめを押し付けるのではなく、「選択肢はすべて提示する方が親切」と薄井さんは考えている。そのうえで悩む顧客には、「『僕ならコッチを選びます!』とリードします」(薄井さん)。“コッチ”は、単にスペックの比較などから導き出すのではない。顧客から具体的な利用シーンや生活スタイルを聞き出したうえで、自身の知識をフルに活用する。

 薄井さんは、その際のコミュニケーションの心構えを明かした。