2020年8月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

アフターコロナで店舗の真価が問われる

ISラボ 代表 渡部弘毅

 コロナショックの自粛期間で行きつけの浅草の鮨屋が倒産しないことを祈っていた、わたちゃんです。自粛明けには早々に足を運び、大将とお互いの無事を祈りながら呑んで涙しました。

 飲食業や小売業において常連客が大切なことは百も承知でしたが、今回のコロナショックにより、その重要性をあらためて感じています。グルメアプリを運営するキッチハイクは「#勝手に応援 プロジェクト」と題して、新型コロナに苦しむ外食店を支援する取り組みを展開しました。顧客が自分の支援したい外食店を推薦し、キッチハイクが外食店に企画への参加を打診します。参加店はWebサイトに掲載され、顧客に新型コロナが終息した頃に来店して使える食事券を販売するという仕組みです。つまり常連客に支えられた店舗応援の取り組みです。

 こうしたときに応援されるのはどのような店でしょうか。きっと、店主やスタッフの顔、接客のシーンが浮かんでくるような店舗ではないでしょうか。ただ、美味しい、安い、インスタ映えメニューがある、というだけでは応援したいとは思わない気がします。「あの店主、あのスタッフを助けたい」という気持ちが大きく関与するのではないでしょうか。この気持ちがロイヤルティです。そしてロイヤルティに対して大きく影響している要因(ロイヤルティドライバー)は、顧客の購買や食事中の体験、すなわち店主やスタッフのヒューマンタッチな接客です。

 自粛生活でEコマース(EC)での購買に拍車がかかり、外食事業は中食デリバリーに代替されました。小売業においても店舗での購買や滞在時間は大きく減り、ECでの購入比率が拡大しました。こうした傾向は自粛が解除されたとしても完全に戻ることは無いでしょう。店舗を構える小売業は、アフターコロナの新しいモデルを考えなくてはなりません。かといって、店舗での事業をやめてECのみのビジネスモデルに転換し、Amazonと真っ向から対決するのも得策ではありません。デジタル化へのシフトを加速することに加えて、店舗を活かしたモデルを作り上げることが重要です。

 まさしく、アフターコロナで店舗の真価が問われる時代がやってくるのです。デジタルインフラをベースに利便性を追求したECと、ヒューマンタッチな接客をロイヤルティ向上の強みとした店舗を連携させた、オムニチャネルの最適なカスタマージャーニーを描くのです。これが、店舗を持つ事業がアフターコロナ時代に競争優位を発揮するビジネスモデルではないでしょうか。

 ということで、晴れて鮨屋に行けるようになったことだし、今度大将には、常連とのコミュニケーションを今までのLINEに加えてYouTube公式チャンネルも提案してみようかな。豊洲市場の状況や仕込み作業を動画で見たいものです。

図 アフターコロナ時代の店舗事業

図 アフターコロナ時代の店舗事業