2020年3月号 <インタビュー>

新居 臨 氏

制度、ルール、環境、IT活用
“脱・大企業病”を実現する4つの要諦

コクヨ
働き方改革タスクフォース
タスクフォース長
新居 臨 氏

新しい挑戦を忌避し、「指示待ち族」が大半を占める“大企業病”。成熟度の高い日本企業の多くが罹患し、経済が停滞する一因ともなっている。老舗のオフィス家具、文具メーカーであるコクヨは、この病を脱するべく、「働き方改革タスクフォース」を結成。同チームを牽引する新居氏に全容を聞いた。

Profile

新居 臨 氏(Nozomu Arai)

コクヨ 働き方改革タスクフォース タスクフォース長

1975年兵庫県神戸市生まれ。建築構造やデザインに興味を持ち、広島大学工学部卒業後、1998年コクヨ株式会社に入社。インテリアデザイナー・プロジェクトマネージャー・ワークスタイルコンサルタント等、働く環境に関する多様な経験を経て現在に至る。

──コクヨは、文具だけでなくオフィスのレイアウト提案まで事業拡大し、企業の働き方改革の支援にも注力していますね。

新居 当社は1905年に創業して以来、創意工夫で商品やサービスの領域を広げて来ました。創業時から発展してきた紙製品や文具。それらの製造過程で得られた製本技術を応用して薄鋼板キャビネットを作り、オフィス家具物販メーカーとして業態を成長させました。現在は働くためのさまざまなツールの提供や環境の構築に加え、『働く』という行為そのものを支援するビジネスに領域を広げています。私自身も、20年前はオフィスのインテリアデザイナーとして入社しましたが、ワークスタイルに関するコンサルタント業務などを経験し、仕事の幅を広げてきました。現在は「働き方改革タスクフォース」という役割で、自社の経営課題を解決する手段としての『働き方改革』の在り方を検討・実践しています。

──「働き方を変える」支援とは、具体的にどのようなことですか。

新居 多くの企業にとって経営戦略は、事業戦略と運営戦略に大別されます。事業戦略とは、どの顧客層をターゲットにして、どのような体系で商品やサービスを訴求し事業を拡大するのかなどを考えていくことです。運営戦略は、その事業戦略を、どのような運営モデルで実現するのかということを考えます。日本のような成熟した社会において、昨今、よく聞く運営戦略の課題が「大企業病」です。社員が、「自分がチャレンジしなくても、会社が安定していれば一生食べていける」と考えてしまい、結果、上司の顔色を伺ってばかりの“指示待ち”状態になる。学校教育が浸透しているため、基本的には真面目で優秀なので、言われたことはきちんと実行しても、自発的に新しいことを求めたり、コンフリクトを恐れずに信念をもって取り組む挑戦心を欠いてしまう。そうした挑戦を支援する管理職もいない。こうした人材が多くなるのが、「大企業病」です。

(聞き手・石川 ふみ)
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