2019年11月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

感動体験と落胆体験を把握しよう

ISラボ 代表 渡部弘毅

 ごく普通のオヤジ顔と小太り体型のためか、よくヒト間違いされるし、アパレルショップでも一度で顔を覚えられた経験はなく、常にいちげんさん扱いに慣れている、わたちゃんです。飲んで暴れた店では必ず覚えてもらえるのですが。

 カスタマーエクスペリエンスの重要性が叫ばれるなか、お客様が企業や商品との接点でどのような顧客体験をしているかを把握することが重要になってきました。つまり、どんなポジティブ体験やネガティブ体験をしているか──です。

 顧客体験を洗い出し、定量化する作業を長年、実施していると、顧客体験によってお客様への心への響き方、その結果としてロイヤルティへの影響度が違うことが分かってきました。つまり、ポジティブ体験には必ず、お客様の心に響きロイヤルティに好影響をおよぼす「感動体験」があり、同様にネガティブ体験にもまた、お客様の心に響きロイヤルティに悪影響をおよぼす「落胆体験」があるのです。

 たとえば、小売り店舗の接客場面では「知識が豊富で的確にアドバイスしてもらい嬉しかった」というポジティブ体験は数多くのお客様が体験します。これに対して「同伴者(夫婦や子供、友人)への気配りがあって嬉しかった」というポジティブ体験は、体験者数は少ないものの心に響きロイヤルティに大きく影響する「感動体験」であることがわかりました。また、百貨店に入店した際に、「訪日外国人のマナーが悪くて嫌な思いをした」というネガティブ体験は数多くのお客様が体験します。一方、「フロアーが汚くて嫌な思いをした」というネガティブ体験は、体験者数は少ないもののロイヤルティに大きな悪影響をおよぼす「落胆体験」であることが分かりました。

 つまり、ある顧客体験が発生している頻度を把握すると同時に、その体験がどの程度、心に響きロイヤルティに影響するかを把握する、感動体験と落胆体験を把握できると、効果的な改善計画が立案できます。

 ということで、3カ月ぐらいに前に初めて購入した少しお気に入りの店に行ってみました。すると店員さんがなんと「先日はありがとうございました。着心地はいかがですか?」と声をかけてきたのです。しかも3カ月前の会員カード作成時に記入した名前も覚えていたのです。いちげんさん扱い慣れしている自分としては初めての経験で、驚きとともに、心に響いた感動体験となりました。ついついその日も買ってしまい、すっかり常連客になってしまいました。しかし、あの店員さんは何で覚えていたんだろう? 今度聞いてみよう。

図 感動体験と落胆体験

図 感動体験と落胆体験

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