2019年6月号 <特集>

特集扉

全国平均は5年ぶりに低下!
コールセンター
採用時給/月給調査 2019

Part.1 <データ分析>

顕著な「派遣から直接雇用」へのシフト
2018年問題の余波で変わる採用事情

編集部が毎年1月〜3月、さまざまな媒体で出稿された求人広告をもとに調査している採用時時給と採用時月給から、コールセンターにおける労働市場の現状と課題を検証する。今年は、採用時時給の全国平均が5年ぶりに低下。派遣社員の募集案件数が減るなど、昨年の法改正(労働者派遣法、労働契約法)の影響が見られた。

 2014年以降、上昇を続けてきた採用時時給の全国平均が、今年の調査では5年ぶりに低下した。データを精査すると、昨年の法改正(労働者派遣法、労働契約法)の影響も見て取れる。とくに派遣社員の活用に慎重になっている傾向がある。

 業務の繁閑差が大きいコールセンターでは、有期の派遣社員を“雇用の調整弁”として活用してきた。さらに、改正以前の派遣法においては雇用契約期間に制限のない「26業務」のひとつだったがゆえに、「要員調達が容易」という観点から、有期契約を繰り返し更新し、できるだけ長期間雇用を継続するというやり方が常態化していた。長年、主戦力として活用されてきた派遣社員が、2018年の法改正をきっかけに無期転換、あるいは直接雇用化が進んでいる。採用の現場でも同様に、「派遣から直接雇用へ」という流れが生じていると推察され、今回の調査結果においても比較的時給の高い派遣社員の求人件数が例年に比べると少ない結果となった。

図1 過去5年間の推移(エリア別)

図1 過去5年間の推移(エリア別)

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図2 エリアごとの採用時時給

図2 エリアごとの採用時時給

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Part.2 <報酬とモチベーション>

「採用時」よりも「就業後」の報酬制度が重要
選び続けられるための人材マネジメント

「働く時間を選べる」「ありがとうと言われる仕事」──コールセンターに就業する動機はさまざまだが、「報酬」はやはりモチベーションの大前提である。単に「競合よりも高い設定」というだけでなく、「成長を実感できる報酬の仕組み」や「報酬の納得感」が重要と識者各氏は指摘する。「報酬とモチベーション」をテーマにその見解をまとめる。

 「コールセンターは時給が高い」。求職者、募集企業のいずれにもこのイメージは定着しているが、“就業後の見直し”に納得感がなければ、「他所よりは少しだけ時給が高い」ので就業したオペレータも、働いているうちに「見合っていない」と感じ、離職につながる。

 とくに正社員、契約社員、パート/アルバイト、派遣社員などさまざまな雇用属性が混在するセンターではほぼ同じ仕事をしているにも関わらず年収格差が生まれることもある。2020年4月から適用される同一労働同一賃金は、“不合理な格差の是正”を求めている。不合理な格差を生まないためには、役割ごとの業務内容や責任範囲を明文化したジョブディスクリプション(職務定義)が不可欠だ。

 賃金のみならず教育訓練の機会や福利厚生の格差もある。非正規社員の無期転換が進むなか、雇用属性に関わらず、長期雇用を前提とした育成や定着のための施策は不可欠になっている。

 従業員が求めているのは、「納得感」と「将来性」だ。自分の努力や貢献に対して見合った給与を受け取れるか否かで「納得感」を測り、その先に描く成長した自分とそれに見合った報酬を想定して「将来性」を測る。とくに他者からの承認欲求が強い世代が主力となりつつある現在、適正かつ納得感の高い報酬という「最大の承認」は、従来よりも大きなポイントとなり得る。

平賀 充記 氏

囲み(1)採用

働きやすい環境、管理職の声掛け
求職者は「時給+α」で判断する

ツナグ・グループホールディングス
ツナグ働き方研究所 所長 平賀 充記 氏

田口 浩 氏

囲み(2)定着

限定社員と正社員を行き来
ライフステージで選べる働き方

東京海上日動コミュニケーションズ
執行役員 田口 浩 氏

平野 健二 氏

囲み(3)同一労働同一賃金

70%の企業が「対応方針未定」
人材派遣会社との調整も課題

アデコ
執行役員 平野 健二 氏