2019年5月号 <インタビュー>

福家 尚文 氏

「投資の成功体験」を正しく伝える
経営視点で捉えるコンタクトセンターの潜在力

みずほ証券
副社長執行役員
福家 尚文 氏

「“知識がない、きっかけがない、損をしたくない”というお客様に、投資の有効性と重要性を正しく伝える」──昨年からみずほ証券の副社長に就任した福家氏は、“貯蓄から投資へ”の道筋をつけるためコミュニケーション戦略を重視する。「対面営業とコンタクトセンターが有機連携し、それぞれの特徴を活かす」という戦略を聞いた。

Profile

福家 尚文 氏(Naofumi Fuke)

みずほ証券 副社長執行役員

1958年6月生まれ。大阪府出身。1982年、日興証券入社。2008年、同社専務取締役に就任。2016年、みずほ証券に入社。2019年、同社副社長執行役員リテール・事業法人部門長 兼 みずほフィナンシャルグループ専務執行役員リテール・事業法人カンパニー副カンパニー長。

──2000年代以降、ネット証券の普及で個人投資家は増えたとされています。しかし、ネットバブルがはじけ、さらに人口減少が金融市場にもたらすネガティブな影響が深刻なのも事実です。今後、証券会社が担うべき役割の変化について、どう考えますか。

福家 日本銀行「資金循環統計」によると、国内の個人金融資産残高は2018年9月末で1859兆円となり、1990年に1000兆円の大台を突破して以降、順調に増加しています。しかしながら、その大半は預貯金が占めており、株式や投資信託などのリスク資産の保有率は15%程度に過ぎません。ネット証券の台頭で、「株式の取り引きが身近な存在になった」とは言われますが、自らインターネット経由で株式を取り引きするお客様は、まだまだ限られた存在です。さまざまな投資家アンケートによりますと、投資を行わない理由として「わからない」「知識がない」「きっかけがない」「必要と思わない」「損をしたくない」の5項目が大半を占めています。すなわち国内においては、「ITにも金融にも明るくないので、結果的に資産を預貯金に積み上げる」行動となっているのです。一方で、「人生100年時代」と言われる時代が到来し、長い人生に対するリスクに備えるための“投資”の重要性がクローズアップされるなか、金融庁は国民に対する金融リテラシーの醸成を図っています。証券会社は、「貯蓄から投資」への道筋をつけるリード役になる社会的使命があると考えます。

ITとコンタクトセンターを有機連携
対話を重ねるチャネルミックス戦略

──その使命を果たすうえでの課題は何ですか。

福家 投資に対して踏み切れない方々の多くは、バブル崩壊とリーマンショックのトラウマやトランプ・リスク、米中貿易摩擦などメディアを通して溢れ出す「危機」を強調した報道に目を奪われがちです。もちろん、世界経済を取り巻く情勢は不安定かつ不確実で、不透明なうえに変化の速度も極めて速くなっています。かつて世界ナンバー・ワンの高成長を誇った日本はバブル崩壊以降、世界の中での位置づけが急低下していますが、世界経済は順調に拡大しています。短期的な現象だけに目を奪われることなく、このような世界経済の大きな流れを伝えたい。「長期・分散・継続」という投資の王道を伝え、お客様のサクセス(成功体験)を積み上げていくことが我々の存在意義だと考えます。

──それを実現するための具体的なコミュニケーション戦略は。

(聞き手・石川 ふみ)
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