2019年4月号 <CS戦略>

服部 貴之 氏

服部 貴之 氏

<コーナー解説>
カスタマーサービスに注力し、コールセンターやWebサイト、アプリなどを有効活用し成長している企業のキーマンに戦略を聞きます。

フォトシンス

アクティブサポートで目指すカスタマーサクセス

企業プロフィール

設立:2014年9月1日
所在地:東京都港区芝5-29-11 G-BASE田町15階
代表者:河瀬航大
事業内容:スマートロック「Akerun Pro」と「Akerun入退室管理システム」の開発・提供

 スマートフォンのアプリや交通系ICカード、NFC対応の社員証などで解錠できる「Akerun入退室管理システム」。クラウドサービスのため、オフィスのレイアウト変更や移転の際も、簡単な設定変更で容易に対応し、将来的な拡張を目指すスタートアップ企業などを中心にユーザー数を伸ばしている。

 重視する経営指標は、解約率やLTVだ。単にユーザー数だけを目標にするのではなく、長く利用を続けてもらう、“サブスクリプション”モデルだ。

 そのために取り組んでいるのが、(1)オンボーディング時の手厚いサポート、(2)(利用を)止める予兆を見つけ先手を打つ──の2つだ。

 カスタマーサクセス部の服部貴之部長は、「初期段階における解約のカスタマージャーニーマップを描いてみると、利用開始から安定利用に至るまで、つまり接点が営業からサポートに移る間に違和感を抱かせてしまうことが原因だとわかりました」と話し、昨年、オンボーディング支援専任チームを立ち上げた。

 「初期ユーザーは、サポートサイトの案内やマニュアルを渡すだけでは不十分。しかし、手取り足取りのサポートを意外と嫌う傾向もあります。適切な距離感を保つサポートが必要です」(服部氏)

 チーム設立の結果、初期解約が減っただけではなく、安定利用の段階、つまりオンゴーイング時の問い合わせも減ったという。

 企業向けのシステムは、使いこなせなければオンゴーイング段階でも解約に至る。そこで同社ではデータから利用状況を検証し、例えば社員の半数以上が使っていない、製品(ドアに設置したスマートロック)の交換が頻繁など“解約の予兆”を捉え、先回りしたサポートや提案を実施している。

 服部氏は、「解約を申し出た時のリテンションでは遅すぎます。“SaaS+IoT”は利用状況や製品の状況がすべてデータで把握できるのですから、そこからユーザーの期待と実際のギャップを見つけ、先手を打つことが有効です」と強調する。

 こうしたプロアクティブな提案サポートは、カスタマーサクセス(CS)チームが担う。約20名のメンバー(オペレータ)には、「相手のビジネスまで目線を伸ばすこと」(服部氏)を求め、ユーザーに対する提案だけではなく、開発部門に対しても、顧客体験を高めるために必要な機能の提案を要求している。

 一連の取り組みの結果、解約に至りやすい利用状況を示すユーザーは約40%から約10%に低減した。これは、約90%のユーザーがサービスを期待通りに使いこなせているという“カスタマーサクセスの実現”を示している。これについて服部氏は、「営業とオンボーディング支援チーム、サポート・開発が目標や成果を共有し相互に助け合える仕組みを整えたことが、この結果につながっていると感じます」と振り返った。