創刊20年記念特集
コールセンターのパラダイムシフト
Part.1 <コールセンターの変化>
処理部門から「戦略拠点」へ
求められる“後追い型組織”からの脱却
「コンピューターテレフォニー」(コールセンタージャパンの前身)の創刊から20年。コールセンターは、企業と顧客の接点として、さまざまな変化にさらされてきた。米国発のITやマネジメントを輸入する一方で、KPIに基づく管理や人材、位置づけなど、日本オリジナルともいうべき「常識」も形成された。今後、いかなる進化を遂げるべきか──「コールセンターのパラダイムシフト」を検証する。
CTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)技術の登場で一気にIT化、高度化が進んだ国内のコールセンター。CRMコンセプトの普及、インフラのIP化、そしてカスタマー・エクスペリエンスの概念が広がり、顧客からの問い合わせや注文の「処理部門」だったコールセンターは、継続利用や推奨といったロイヤルティを高める行動を促す「戦略拠点」として認識されつつある。一方で、深刻化する採用難で労働力が不足、現場は品質維持に精一杯という課題が影を落としている。
今後、コールセンターを有効に活用する「経営貢献」を進めるには、まずは従来型の「受け身/後追い」という体質から、VOCを起点とした提案型のマネジメントへ脱却する必要がある。
図1 コールセンターの役割の変遷
※画像をクリックして拡大できます
Part.2 <座談会>
カスタマー・エクスペリエンスが変える
コールセンターの常識と生み出す「価値」
コールセンターを取り巻く環境は、とくにこの5年間で激変した。急速なデジタルシフト、深刻化する採用難。その一方で、「現場のマネジメント手法は大して変わっていない」という指摘もある。コンサルタント、運営企業の立場でコールセンターに関わってきた、「5年後のコンタクトセンター研究会」リーダーの渡部氏、秋山氏、加賀氏に「あるべきパラダイムシフト」を聞いた。
オムニチャネル化やAI活用など、コールセンターを取り巻く環境は激しく変化している。これを受けて、コールセンターの役割がどう変わり、マネジメントの人材要件はどう変化していくか。座談会では、5年後のコンタクトセンター研究会の各分科会のリーダーが活発に議論した。
まず環境変化に伴うコールセンターの変化について、ソリューション/サービス分科会のリーダーを務める秋山紀郎氏は、「コールセンターはオムニチャネル化が必然となり、結果、メールやチャットといったノンボイス系のデータが多く蓄積できるようになり、それを活かすことも役割のひとつになってきた」と指摘。ストラテジー分科会のリーダー、渡部弘毅氏も、「顧客の期待も、単に“解決する”ということだけではなく、“快適なサービス”を求めるようになり、高度化している印象がある」と加えた。これを受けて秋山氏が、「CXという言葉の流行が、企業が“顧客が中心である”ということを改めて考えなおすきっかけになった」と応え、マネジメント分科会のリーダー、加賀 宝氏も「現場がCXを意識することで、トーン&マナーのチェックよりも、“最終的に顧客が納得したかどうか”“満足したかどうか”など、顧客がどう思ったのか」をベースに評価するようになった」と指摘した。
さらに、「(トレンドとなっている)カスタマーサクセスは、CXを追求した先の結果。売り上げだけではなく、CXを高めることにいかに尽力できるか。それを実践するために、現場のモチベーションをいかに高められるか。経営と顧客、従業員がWin・Win・Winになる構造を創ることができなければ、カスタマーサクセスはバズワードに終わってしまうかもしれない」(秋山氏)という提言や、「音声認識の活用が応対履歴のテキスト化によるパフォーマンス向上に終始しており、活用範囲の拡大が課題」(加賀氏)など、コールセンター業界全体に散見される課題も掘り下げた。
今後のマネジメント人材要件については、AI活用により業務知識を詰め込む必要がなくなってきたことで、「ホスピタリティや共感力をトレーニングができる人材が必要」(加賀氏)、「他部署のやり方にも踏み込んで改革を起こしていってほしい」(秋山氏)といった意見も交わされた。
出席者(順不同)
●渡部 弘毅氏(中)
ISラボ
代表
●秋山 紀郎氏(左)
CXMコンサルティング
代表取締役社長
●加賀 宝氏(右)
富士ゼロックス
ネットワークセキュリティ事業部
マネジャー
2024年01月31日 18時11分 公開
2018年11月20日 00時00分 更新
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