2018年11月号 <特集>

特集扉

プロに聞く
「使えないFAQ」脱却のヒント

Part.1 <現状と課題>

電話は70%減らせる?!
「見られる」「使われる」FAQの作り方

FAQは、コンタクトセンターの資産だ。顧客が自己解決するためのツールであり、オペレータが対応する際、参照するナレッジでもあり、チャットボットはFAQがなければ動かない。すべての顧客接点が、FAQを土台として成り立っているといっても過言ではない。にも関わらず、従来、その管理はあまりにもおざなりだった。「使えないFAQ」を「使えるFAQ」にするためのポイントを検証する。

 コールセンターに電話をした顧客の約70%は、「Webサイトを見て自己解決を図ったにも関わらず解決しなかった」という顧客体験を持つという(図1)。

 なぜ、FAQサイトが機能しないのか。主な理由は、ナレッジマネジメントにある(図2)。属人的に管理されたり、改善のPDCAが循環しないと、情報が不十分、あるいはわかりにくかったり、導線や検索性に課題のある“使えないFAQサイト”を生み出すことになる。

図1 コールセンターに電話する前にその会社のホームページの「よくある質問集」などを見たか(直近のケース、n=1200)

図1 コールセンターに電話する前にその会社のホームページの「よくある質問集」などを見たか(直近のケース、n=1200)

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図2 ナレッジが管理できていない体制

図2 ナレッジが管理できていない体制

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課題1.情報不足

顧客が必要とする情報は
電話が鳴る前に公開する!

 FAQは、(1)いつまでに、(2)どの程度、必要なのかを意識せずに管理すると情報不足に陥りやすい。

 FAQには旬がある。顧客が問い合わせたいタイミングで、新鮮な情報を提供する必要がある。しかし、問い合わせのピークが過ぎた後にFAQをアップしたり、情報が古いまま更新されないということは少なくない。

 テキストマイニングなどテクノロジーを使えば、応対ログから頻出するキーワードは効率的に抽出できる。また、「ついでに聞くけど」というキーワードから“隠れたコールリーズン”を抽出し、FAQに反映することも有効だ。

課題2.わかりにくい/見つけにくい

正しい答えを出しても見られない
「顧客の言葉」で表現しよう

 情報が多過ぎることも、FAQが使われない原因となる。OKWAVEのエンタープライズソリューション事業部 アカウントマネジメント部 ナレッジマネジメントグループ 早見拓也氏は、「映画の字幕と同様に、人がひと目で判断できるテキスト量には限界があります」と指摘する。

 FAQサイトの存在そのものがわかりにくいケースもある。「よくある質問」をクリックしないとたどり着けないという構成だけではなく、申し込み画面や商品説明のページなど、あらゆるサイトにフリーワード検索の入力窓を置くといった工夫で、FAQの利用率は向上するはずだ。

課題3.管理が煩雑

改善しても呼量が減らない?!
コールリーズン別に見よう

 FAQは、膨大なデータを常にメンテナンスするなど管理が煩雑だ。その割に、効果がわかりにくいことから、片手間の運用に陥りやすい。KPIを設定し効果検証ができる体制を整えておくことも重要だ。

 一般的にFAQのKPIは、0件ヒット率やアンケートをベースにした解決率、閲覧数などがある。例えば、閲覧数が多いにも関わらず、解決率が低いものや、0件ヒット率の高いものを中心に改善するといった管理が主流だ。FAQソリューションを提供する、プラスアルファ・コンサルティング 見える化エンジン事業部の大矢 聡氏は、「0件ヒットは、そもそもコンテンツが不足しているか、カテゴリの設定が間違っているか、顧客の入力キーワードとの不一致が原因であることが多く、それぞれコンテンツの充実、カテゴリ分類の再検証、同義語の辞書登録で解決できます」と改善のポイントを話す。


Part.2 <Q&A>

「呼量が減らない」「ボットに適用したい」
専門家に聞く! FAQをカイゼンする11のヒント

FAQの構築、運用を継続するのは容易ではない。分析の対象は膨大で、顧客の使い方はさまざまだ。Part.2では、FAQサイトを運用、改善するうえで、よくある“カベ”、素朴な疑問に専門家から回答を募りまとめた。目的通りに改善するためのヒントや、チャットボットにうまく適用するためのノウハウを紹介する。

 ナレッジマネジメントの課題は広く、根深い。しかし、運用を見直し、FAQを改善するためのPDCAを回せる体制を整えれば、相応の呼量減が見込めるうえ、応対品質も向上し、チャットボット導入もスムーズになる。CS(顧客満足)、生産性の両面で効果は高い。

 Part.2では、呼量減を目的とした場合のFAQ構築のポイントや、閲覧数、0件ヒット率といったKPIに基づいた改善方法から、鮮度を保つナレッジマネジメントや、チャットボット構築、運用のためのFAQのあり方まで、10の質問を挙げ、7人の専門家から回答を募った。

回答者(順不同)

大矢 聡 氏
 プラスアルファ・コンサルティング 見える化エンジン事業部

福角 祐子 氏
 プロシード コンサルタント/COPC認定監査員

木戸 国彦 氏
 ベルトラ サービスプランニング・サーチテクノロジスト

山下 辰巳 氏
 HDI-Japan 代表

神田 晴彦 氏
 野村総合研究所 ビッグデータイノベーション推進部
 AIソリューション推進グループマネージャー 上級研究員

早見 拓也 氏
 オウケイウェイヴ エンタープライズソリューション事業部
 アカウントマネジメント部 ナレッジマネジメントグループ

生川 慎二 氏
 富士通 カスタマーエンゲージメントソリューション室