職場に対する期待値は低い?
実態調査に見る「SVのホンネ」
Part.1 <実態調査>
増える仕事、上がらない収入──
人手不足に消耗するSV228名の肉声
コールセンタージャパン編集部では2018年6月、SVやチームリーダーを対象とした意識調査を実施した。インターネットやメールで228名から得た回答をもとに、SVの実態と育成の課題を検証する。見えてきたのは、実務スキルに自信を持つ一方、業務量と評価のバランスに不満を抱く姿と、漠然とした“現状維持”を望むという矛盾を抱えるSV達の姿だ。
「SV意識調査(2018年6月に実施)」をもとに、SVの就業体験や意向を検証する。
回答者の属性は、図1の通り。比較的、長い就業経験を持つSVが多く回答を寄せた。
しわ寄せが集中する中間管理職がゆえ、昨今の人手不足で業務量は増えているが、一方で収入は伸び悩んでいる。アンケートでも「昇給しない」「褒められず、労いの言葉もない」「達成感がない」といったコメントは少なくない。雇用属性ごとに悩みを分析すると、正社員は「スキル不足」、地域・職種限定社員は「業務量が多い」、契約社員は「給与/評価が不当」と「指導しにくいオペレータがいる」が最も多い結果となった。コールセンターへの就業経験がなく、正社員だからという理由でいきなりSVに就任したケースでは、二次対応やオペレータへの指導というシーンで自身のスキル不足を痛感するSVが多いようだ。契約社員が抱える給与/評価への不満は、正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」への対応が喫緊の課題であることを示す。
「理想のSV」について聞くと、約80%のSVが、「チームのパフォーマンスを最大化する」を選択。「新たな課題へのチャレンジ」や「ダイバシティへの対応」「コスト管理」の割合は低かった。責任範囲内で仕事をこなすことを理想とする傾向が強く、革新的な提案や大規模な施策の立案まで関心が及んでいない印象だ。
業務の継続意向を聞くと、70%が今の仕事を「続けたい」と回答する一方、仕事に対するロイヤルティを示すeNPS(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア」は、-69.6と低い。「仕事への愛着は強くないが、辞めるほど嫌でもない」というホンネがみえる。今後希望するキャリアパスについても、eNPSの低いSVほど、現状維持を望む傾向があった。
図1 回答者の属性(n=228)
※画像をクリックして拡大できます
Part.2 <SVインタビュー>
オペレータの成長、提案受理、経営貢献
“やりがい”につながる成功体験
多忙を極めるSVの日常。実態調査からは「給与が安い」「社員が相談に乗ってくれない」などの不満の声もあるが、「担当のオペレータが成長した」「顧客から感謝された」「新しい取り組みを任せてもらえた」など、働いていて良かったと感じる瞬間も垣間見える。3名のインタビューから、SVの“やりがい”について考察する。
とかく“なんでも屋”と称されがちなSVだが、彼/彼女たちのやりがいとは何だろうか。SV実態調査から業務内容をみると、「オペレータのフォローや指導・育成」「苦情などの二次対応」「上司への報告・レポート作成」などが大半を占めことがわかる。一方、今回、インタビューした3名のSVに共通したのは、ツールやナレッジの整備、クライアントへの業務提案、顧客離反防止(リテンション)などを行い、ビジネス貢献を評価されている。
特集Part2では、3人のインタビューからSVの“やりがい”についてまとめる。
図2 SVの“やりがい”の一例
※画像をクリックして拡大できます
2024年01月31日 18時11分 公開
2018年07月20日 09時00分 更新
コールセンター「DX化」の絶対条件 『シニアのデジタルシフト』講座
<コールセンター「DX化」の絶対条件 『シニアのデジタルシフト』講座・…
倉橋美佳
コンタクトセンター・アワード2024 最終審査会を開催
最優秀部門賞で4社、個人賞で11名…
三菱UFJ信託銀行、生成AIで社内問い合わせ業務の一部を自動化
担当部署の対応時間を5割削減
パーソルグループ、BPO事業を再編し新会社パーソルビジネスプロセスデザ…
RightTouch、Web・電話対応連携サービス「RightCon…
入力内容から、生成AIが適切なオペ…
三井住友フィナンシャルグループ、アバター接客サービスの実証実験を開始
AVITAのアバター接客サービス「…