クレーム対応だけが仕事ではない!
VOC活動で「受け身」の意識を払しょく
DHLジャパン
カスタマーサービス本部
カスタマーケアマネージャー
長沼 英樹 氏
Profile
長沼 英樹 氏(ながぬま・ひでき)
国内大手物流会社勤務後、2000年にDHLジャパン・カスタマーサービス本部入社。コンタクトセンターのエージェントを経験後、追跡調査などの二次受けを担当するカスタマーケアに異動。その後、カスタマーケア・スーパーバイザーを経て2014年から現職。同社戦略の1つ「やる気のある人材」作りに日々全身全霊を注いでいる
コールセンターは単なるクレーム処理部門──いまだに、こうしたイメージは根強い。それは消費者だけでなく、センターでのスタッフ自らもそう捉える傾向がある。
国際運輸大手の1社、DHLジャパンも同様だった。2014年12月、二次受付部門のマネージャーに就任した長沼英樹さんは、「当時の従業員意識調査は部門内最低。クレーム対応部門という受け身のイメージが蔓延するなか、“問題を明らかにし、改善を進める部署”と言い続けました」と振り返る。
同チームは、一次受付で対応できない荷物の輸送に関するアレンジ、破損や紛失に関わる補償対応も実践している。従って「お客様の声だけでなく、社内の声も集まる部署」(長沼さん)であり、VOC(顧客の声)をもとにした改善の起点となるには最も適しているチームといえる。
長沼さんの積極的な姿勢によって、2015年の1年間に117件もの問題点を改善サイクルに載せ、うち42件の作業手順を変更するに至った。結果、同年の従業員意識調査では、13項目中、10の分野で部門最高値を記録。「お客様からいただく感謝のお電話やお手紙も、2014年の月平均1.5件から2.5件に増えました」(長沼さん)と、CSにも好影響をおよぼしている。
全メンバーの参画意識を向上した
コミュニケーション施策
メンバー個々の参画意識を高めるために、全員が通常業務以外の役割を担う活動も開始。「チーム貢献ができるか」「自分自身が成長できるか」「楽しむことができるか」という基準を設け、メンバーからのアイデアを募った。結果、23個のアイデアが実行に移された。自らが考え、実施に至ったことで職場の雰囲気が変わり「明るくなった」という声が多く聞かれた。離職も大幅に減少し、全体的な生産性が向上、突発的な休みがほとんどなくなったことでセンター運営が円滑になったという。
長沼さんがリードした改善が業績貢献したケースもある。同社はNPS調査を実施しているが、顧客から「問い合わせた後に折り返しの電話が来ない」という声が発生した。状況確認したところ、2014年10月からの3カ月間でチームの担当案件の18%が連絡できていなかったことが判明。徹底した原因分析から連絡漏れ対策を策定・実行に移し、連絡漏れは1.2%まで減少、離反のリスクを事前に防いでいる。忌憚のないコミュニケーションが生んだ改善事例といえそうだ。
2024年01月31日 18時11分 公開
2017年07月20日 00時00分 更新
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