進化するお客様相談室
ブランド価値を高める「戦略拠点」へ
Part.1 <現状と課題>
最大の武器はやはりVOC!
「顧客体験」の重要性を全社に発信
長い間、「役割はクレーム処理」と認識されてきたお客様相談室。“火消し”の役割から、出火を予防する“防火”の役割、つまりVOC活用の起点と転じて久しい。さらに、VOCの収集範囲拡大や、ブランディングに一役買う取り組みで、役割を拡げている相談室が増えている。こうした進化に必要な、IT活用、情報発信、顧客体験への意識醸成について解説する。
VOC活用を中心に、お客様相談室(以下、相談室)の役割が広がっている。顧客の声を受け止め、真摯に対応することでロイヤルティを高めるだけではなく、それを元にカスタマー・エクスペリエンスを捉え高める役割を、経営や顧客から期待されつつある。
相談室に集まる膨大なVOCを収集、循環させるためにはITが不可欠だ。カルビーはメール、日本コカ・コーラはポータルサイトでVOCや分析結果を共有している。東京電力エナジーパートナーは相談室に集まる声に加え、支社やグループ会社で収集した情報も登録できる専用システムを構築。また、日本コカ・コーラは、SNS上の声も吸い上げる仕組みを構築することで、VOC活用をさらに進化させている。
苦情などネガティブなVOCをもとに商品・サービスを改善するだけではなく、ポジティブなVOCをもとにブランディングを図るといった新たな役割も最近の相談室は担い始めている。
ヤマト運輸は、「お年寄りの手助けをしていた」といった配達員の善行を届けたVOCを全社に共有。これにより、配達員の役割は“荷物を運ぶこと”だけではなく“ヤマト運輸への信頼感を高める”ことだと示し、全社的なサービスの品質向上とブランド醸成を図っている。
VOC活用が企業文化としてまだ根付かず、相談室がその重要性を訴える必要がある場合はさまざまな工夫が必要だ。コクヨは、調査データやKPIをもとに取り組みや成果を数値化し説得を図っている。一方で、関連部署と連携しプロジェクトとしてVOC活用を進めることも有効だ。日本コカ・コーラでは、グループ企業も巻き込んでISO10002の適合宣言を実施、業務改善サイクルを共有する仕組みを構築するなど、製品開発・販売戦略などに大きな影響を与える存在として地位を確立している。
図 「お客様相談室」進化の道程
Part.2 <ケーススタディ>
“ご指摘”足掛かりに業務改革
ロイヤルティ醸成に挑む先進5社
お客様相談室は、顧客と相対して企業の“今”を知るアンテナといえる。それ故、消費者の意見・要望・指摘を受け止めて全社還流し、業務改革を推進するための戦略拠点たり得る。苦情処理係から脱却し、顧客ロイヤルティ醸成の起点として機能する、ヤマト運輸、日本コカ・コーラ、コクヨ、カルビー、東京電力エナジーパートナーの取り組みを見る。
Part1で指摘したように、お客様相談室の進化のカギを握るのは「VOC活用」にある。日々消費者の声に触れ、自社がマーケットの中でどのように評価されているかを把握し全社に還流することで、単なる“苦情処理係”から“戦略拠点”へと変革することが可能になる。Part2では、上記に挙げた先進企業の取り組みをより詳細に紹介する。
CASE STUDY 1:ヤマト運輸
寄せられる「苦情」と「賞賛」
VOCをドライバーの教育に活かす
CASE STUDY 2:日本コカ・コーラ
SNS、CRM情報の登録方法、ISO活用──
“消費者のホンネ”を還流するコツ
CASE STUDY 3:コクヨ
NPSをもとに課題を可視化
ファン醸成で事業貢献を目指す
CASE STUDY 4:カルビー
組織対応でファンを作る
リスクをロイヤルティに“転換”
CASE STUDY 5:東京電力エナジーパートナー
一般生活者から法人、消費者団体も対象
グループの方向性を左右するVOCの「質と量」
2024年01月31日 18時11分 公開
2017年03月20日 00時00分 更新