・今起こってること
一次対応を行う現場のオペレーターや担当者が、理不尽な暴言や長時間の拘束に直接晒され、精神的に追い詰められてしまうケースが後を絶ちません。 かといって、「カスハラが怖いから」と電話口でガードをガチガチに固め、お客様をたらい回しにしたり、冷たい対応を決め込んだりすれば、企業の信頼やCX(顧客体験)は一気に失墜してしまいます。
またカスハラ該当した中にも、悪意を持って電話をしてくる”意図的カスハラ”と、電話がつながるまでの待ち時間・手間・解りづらさで不満が爆発してしまった ”誘発的カスハラ”が混在する上、サービス改善を指摘している正当な要望も存在します。
前述のカスハラ3要素+業務視点でしっかり判断しましょう。自由な顧客体験(CX)を落とさずに、大切な現場の働く人々を守り、全員がハッピーになる仕組みをどう作るか? ITやAIを使う前提で考えてみましょう。
・カスハラ対応の為のIT/AI技術の活用
IT/AIをどう使うか?は、明確化した”基本方針”を元にどう使うか?を考えてみましょう。
この時、下記のようにオペレーターを起点にAI/IT活用を考えると理解しやすいです。

・オペレーター接続前:ボイスボット活用でブラックリスト判定・着信・転送制御等
・オペレーター接続中:応対支援ボイスボット、リアルタイムモニタリングで通話を監視
・オペレーター接続後:全ての通話を分析・分類してカスハラ対策・対応を企画
この観点で少し考えを掘り下げてみましょう。
※その前に第1回で解説した”中小規模でAI導入を成功に導く「はじめの準備」”の考え方がここでも役立ちますので、ぜひ再読ください。
【オペレータ接続前】自動応答AIで理不尽な感情の防波堤
カスハラ疑いのある顧客等から電話がかかってきた際、いきなりオペレーターにつなぐのではなく、発信者番号やAI自動対応で要件を判断し、オペレータにつながる前に一次受付として防波堤を築く。
AI対話が発達した今、着電後、先ずはAI自動応答(IVR)→要件・連絡先をAIが聞き取り→担当者が内容確認後 に企業側から折り返し連絡・・・ という対応を行っているケースが多くなっています。
特別な設備もなしで、利用も月数千円~と安価に利用できる時代です。応対は全て記録に残るので、トラブル時の記録としても活用可能です。 もう使わない手はないです。
人間の怒りのピーク秒数は6秒と言われています。 AIが応答すれば6秒程度は経過し、電話してきた側も少し落ち着いて、話ができます。冒頭から怒声を浴びせられるリスクを劇的に減らすことができます。
また、「対応品質向上のため、通話を録音しております」という事前ガイダンスをAIが自動で流すだけでも、悪質なカスハラに対する強い抑止力となります。
【オペレータ接続中】応対中のリアルタイム文字起こし+分析・感情解析で見守り
通話が始まったら、AIが会話内容をリアルタイムでテキスト化し、表現や”両者の感情”を解析して数値化します。特定のNGフレーズ(脅迫めいた発言や暴言)やネガティブなやり取りをAIが検知すると、管理者の画面に即座にアラートが飛ぶ仕組みです。 これにより、管理者は「あ、あの席でトラブルが起きているな」とすぐに察知し、通話をモニタリングしたり、素早く交代(エスカレーション)等のフォローが可能です。
現場オペレーターに「一人で抱え込まなくていい」という大きな安心感を提供できるのです。リアルタイム音声認識での通話可視化は多くのセンターで ”見守ってくれてる様で安心”という定性効果が確認されています。
【オペレータ接続後】応対後の正確な要約と分析活用
通話終了後、「自動要約&証跡保存」で精神的負荷と後処理業務を軽減します。誰しも「辛かったやり取りを、もう一度思い出しながら要約して記録」するなんてやりたくないですよね。
AIが発達した現代では、AIが客観性をもって対話音声を自動要約し、通話記録 / 分析用のデータとして保存していきます。これはトラブルになった際、「言った言わない」の防止にも役立ちますし、今後の対応検討・改善にも活用出来ます。
ここから見出す視点は下記の三つの”何?”が基本です。
a.カスタマーの不満=CX(お客様体験)の改善点は何?
b.もっと伸長すべき業務は何?
c.従業員に貢献できそうな事=EX(従業員満足を上げること)は何?
これに加えて、カスハラ観点では下記が可能になります。
d.通話の管理→音声保存と通話の要約記録は基本です。
e.なぜカスハラ事案になったのか?の理解→これはAI分析が大いに役に立ちます。
意図を持ったクレーマーだったのか?
話の流れでカスハラ事案になってしまったのか?
こちら側の不手際が原因だったのでは?etc…
・カスハラ対策のAI活用
ご覧いただいた様に、施策によりAIの使い方が変わります。
最近の生成AIは、これまでテキストマイニング等を使って分析担当が苦労して行っていた分析作業をあっという間に遂行してくれます。 そして、なぜそうなったのか?という推論もエビデンス付きで示してくれます。 この”AIの分析結果と推測した提案” を業務担当者がどう判断して、どう実行するか?が実は大変重要なのです。そうです、最後は人が判断を決めるのです。
2026年09月17日 13時54分 公開
2026年10月26日 09時54分 更新